当分は日本で原発の新設は無理だというのは、推進派も反対派も一致して認めるだろうが、発電量の3割を占める原発を廃止するわけにはいかない。飯田哲也氏のように「自然エネルギーで2050年には100%まかなう」という空想的エコロジストもいるが、そんなことは技術的に不可能である。
2009年の総合資源エネルギー調査会の中間答申は、民主党政権下で再生可能エネルギーに好意的なものだが、これでも太陽光発電のコストは49円/kWhと原子力のほぼ10倍。100万kW発電するのに、山手線の内側いっぱいの面積が必要だ。風力発電は9~14円/kWhだが、100万kWの面積は山手線の3.5倍。平地の少ない日本では、立地できる土地がない。
それより問題なのは、こうしたエネルギーの発電量が天候に左右されて不安定なことだ。太陽光は雨や曇りの日にも夜も使えないので、利用率は12%だ。風力は欧州のようにつねに偏西風の吹いている地域では比較的安定しているが、日本のような季節風地帯には向いていない。もし100%こういうエネルギーにして、長雨で無風の日が続いたらどうするのか。こうした電力はピーク時の増加分をまかなうピークロードには使えても、業務用の安定した電圧を求めるベースロードには使えない。
当面ベストの解と多くの専門家が考えるのは、天然ガスである。エネルギー問題の専門家として世界的に知られるDaniel Yerginは、WSJで非伝統的ガス革命によって天然ガスは大幅に余る時代になったと述べている。シェールガスの採掘が可能になったことによって、アメリカの天然ガス生産量はロシアを抜いて世界一になり、価格もここ3年で1/3になった。
MITの報告書でも、世界のシェールガス埋蔵量は160年分と推定している。それはアメリカでは2050年までには石炭をほぼ代替し、CO2の排出量は50%減るだろう。採掘コストは現在でも石油のほぼ半分であり、自動車の燃料としても有力だ。これは石油メジャーの戦略も変え、彼らも天然ガスに投資し始めている。
これによって小型のガスタービン発電が注目されるようになった。これはガスを燃焼して発電すると同時に、その熱を工場などで使うコジェネレーションが可能なので、熱効率が高い。また製品が標準化されてポータブルなので、建設も速い。東電は、今年の夏までにガスタービン発電機を稼働させて供給量を増やすとのべている。
ガスタービンは再生可能エネルギーと同様の分散型エネルギーなので、両者を組み合わせて、たとえば雨の日には太陽光の不足分をガスタービンで補うといった発電プラントも可能だろう。このような発電所はユーザーの近くにあるので、電力網もこうした分散エネルギーを制御して電圧を安定させるスマート・グリッドにする必要がある。
この分野では三菱重工が世界最先端の技術をもつなど、日本のメーカーも有望だが、それを使うオペレーターがいない。日本でも電力の卸売市場ができたが、送電網が電力会社に独占されているため、機能していない。競争とイノベーションを促進するには、送電網を電力会社から切り離す制度改革が必要である。
それより問題なのは、こうしたエネルギーの発電量が天候に左右されて不安定なことだ。太陽光は雨や曇りの日にも夜も使えないので、利用率は12%だ。風力は欧州のようにつねに偏西風の吹いている地域では比較的安定しているが、日本のような季節風地帯には向いていない。もし100%こういうエネルギーにして、長雨で無風の日が続いたらどうするのか。こうした電力はピーク時の増加分をまかなうピークロードには使えても、業務用の安定した電圧を求めるベースロードには使えない。
当面ベストの解と多くの専門家が考えるのは、天然ガスである。エネルギー問題の専門家として世界的に知られるDaniel Yerginは、WSJで非伝統的ガス革命によって天然ガスは大幅に余る時代になったと述べている。シェールガスの採掘が可能になったことによって、アメリカの天然ガス生産量はロシアを抜いて世界一になり、価格もここ3年で1/3になった。
MITの報告書でも、世界のシェールガス埋蔵量は160年分と推定している。それはアメリカでは2050年までには石炭をほぼ代替し、CO2の排出量は50%減るだろう。採掘コストは現在でも石油のほぼ半分であり、自動車の燃料としても有力だ。これは石油メジャーの戦略も変え、彼らも天然ガスに投資し始めている。
これによって小型のガスタービン発電が注目されるようになった。これはガスを燃焼して発電すると同時に、その熱を工場などで使うコジェネレーションが可能なので、熱効率が高い。また製品が標準化されてポータブルなので、建設も速い。東電は、今年の夏までにガスタービン発電機を稼働させて供給量を増やすとのべている。
ガスタービンは再生可能エネルギーと同様の分散型エネルギーなので、両者を組み合わせて、たとえば雨の日には太陽光の不足分をガスタービンで補うといった発電プラントも可能だろう。このような発電所はユーザーの近くにあるので、電力網もこうした分散エネルギーを制御して電圧を安定させるスマート・グリッドにする必要がある。
この分野では三菱重工が世界最先端の技術をもつなど、日本のメーカーも有望だが、それを使うオペレーターがいない。日本でも電力の卸売市場ができたが、送電網が電力会社に独占されているため、機能していない。競争とイノベーションを促進するには、送電網を電力会社から切り離す制度改革が必要である。