イギリス政府が科学顧問のHilary Walkerなどに依頼して日本大使館に送ってきた、15日現在の影響評価(日本語要約by岩瀬大輔氏)
- 1つの原子炉がメルトダウンしても、被害が出るのは30キロ圏内。2つ以上の原子炉がメルトダウンしても、被害はあまり変わらない。
- 現在の20キロ圏内の避難勧告は、妥当な判断。
- 専門家は、東京在住者への健康被害の可能性はないと見ている。
- 専門家は、風向き云々ではなく、東京は距離的に離れているから健康には影響ないと見ている。
- 原子炉が冷やされるにつれて、10日程度で状況はかなり改善する。
- 日本の当局から出される情報は、多くの機関から監視されており、現在まで正しい情報を流していると見られている。
- チェルノブイリとはかなり状況が違う。チェルノブイリの時は、原子炉がメルトダウンし、ケースが爆破し、何週間も炎上していた。チェルノブイリの時でさえ、30マイル(50キロ)離れていれば、健康を守るのに十分だった。一番問題となったのは、被災した食料・飲料を食べて病気になったこと。当時、食料の放射線レベルを測定したり、危険を知らせる試みは、全くなかった。
- ブリティッシュスクールの校長は、学校を閉鎖し続けるか質問してきたが、原発を恐れ、閉鎖する必要はないと回答した。
- ヨウ素に関して、専門家は、多量の放射線や被災した食料・飲料を取り込んだ際に限り必要となるもので、長期にわたり、ヨウ素を体内に取り込むのは、どんな場合であっても、不健康。
たまたま目にした例で、無視すればいいと言えばそれまでですが、名前の知られている人だけに腹立たしく感じたのは、「エコノミスト」の植草氏です。原子炉の構造に詳しいとは到底思えない人ですが、政府は情報を隠蔽していると書き、原子炉から200キロ!以内の人に、直ちに「避難」するよう勧めています。
私は、今たまたま米国東海岸におりますが、当地でも若干センセーショナルな報道は散見されます。それでも専門家の冷静なコメントを伴わせて、バランスを取る工夫がなされています。
個人が根拠の曖昧な不安感にかられ、自分のコスト負担の下に、どこへ「避難」しようが自由ですが、あたかもそれが必要であるかのよう吹聴し、しかも当局者がそういう「真実」を隠蔽しているなどと言うのは、「流言飛語」そのもので、ある程度の知名度の人であれば、無責任な言動として厳しく指弾されるべきでしょう。