kadomatsu002_illus今年も年賀状を出さないので、ブログでごあいさつ。

今年は、きのうの10時半からけさの6時まで7時間半の討論に付き合って、新年早々疲れた。やはりおもしろいのは楽屋の話で、労働市場についてほとんどの人が問題だと思っていることがわかった。湯浅誠氏も含めて認識はそう違わないが、彼も政治家もそれを口に出せない。これが選挙の争点にならないと、日本は変わらない。

唖然としたのは森永卓郎氏の話だ。「量的緩和でデフレは改善した」というので、マネタリーベースとインフレ率の図を見せると、「日経平均は上がった」という。「最低賃金を上げたら失業が増えるだけだ」と私がいうと、「賃金を上げたら雇用は増える」という。本気で信じているとすればバカだし、ワイドショー受けをねらっているのだとすれば嘘つきだ。

アゴラにも書いたことだが、日本はこれからモダンのおさらいをしなければならないと思う。かつて丸山眞男は、日本はプレモダンからポストモダンにleapfroggingを果たしたかもしれないと書いたが、それは間違いだった。日本型の国家資本主義は、一時は成功モデルだと思われたが、やはりだめだった。残念ながら、いったん近代の個人主義を通過しないと日本は成熟できないと思う。

これは政治的に困難であるばかりでなく、思想的にも問題含みだが、サンデルが日本で読まれたことは、こうした問題に向き合う用意のある人がかなりいるということかもしれない。その意味で、あれが読まれたことは、日本がロールズ・ノージック以来の本質的な問題に取り組む手がかりになるかもしれない、という点で東浩紀氏と(楽屋で)意見は一致した。