法人税率の引き下げをめぐる論争が大詰めを迎えた。財務省は租税特別措置の削減を交換条件にしようとしているが、日本経団連は強く抵抗している。他方、赤旗は「日本の法人税率は高くない」と、次のような調査結果を示している。どれが正しいのだろうか?
正しいのは赤旗である。経常利益の上位100社というバイアスはあるが、日本の法人税がいかに歪んでいるかをよく示している。ニューズウィークでも書いたように、日本の大企業に対する実効税率は、租税特別措置(租特)を入れると必ずしも高くない。法人税収(国・地方)の9.7兆円に対して租特は5.9兆円もあり、国の歳入に占める法人税収の比率は5.5%で先進国では低いほうだ。
ソニーやパナソニックの税率が低いのは海外法人に利益を分散しているためだが、住友化学が16.6%しか税金を払っていないのは、ナフサの租特が原因だ。これは3.7兆円も免税されており、税調でも1兆円ぐらい減らしてはという話が出たが、日本経団連が「石油製品が値上がりしてもいいのか」と反対して見送りになった。しかし環境税が議論になっているときに、こういう「負の炭素税」を残すのはおかしいのではないか。
平均の法人税率が40%なのに、財界系企業が30%以下だということは、法人税にも古い重厚長大企業を保護する「老人バイアス」があることを意味する。また企業の70%以上が赤字法人で、税金を払っていない。このように抜け穴だらけで課税ベースが小さいため、税率を下げられないのだ。赤旗のいうように「大企業優遇税制」をやめれば、税収中立にしても法人税率は25%まで下げられる。
赤字法人に課税するには、売り上げの総額に課税する外形標準税も考えられる。これは東京都が銀行に対して実施し、銀行の訴訟に実質的に敗訴して税収の一部を返還したが、税法を変更すれば不可能ではない。年間の付加価値額260兆円に一律4%課税するだけで、現在の法人税と同じ税収を上げることができる。課税ベースを広げて、薄く広く課税する改革が必要だ。
追記:コメント欄でも書いたが、ナフサの租特は法人税ではないので、赤旗の記事は不正確だ。ただ共産党は、ソニーの海外法人の利益も住友化学のナフサの利益も「課税されるべき利益」として計算していると思われる。
ソニーやパナソニックの税率が低いのは海外法人に利益を分散しているためだが、住友化学が16.6%しか税金を払っていないのは、ナフサの租特が原因だ。これは3.7兆円も免税されており、税調でも1兆円ぐらい減らしてはという話が出たが、日本経団連が「石油製品が値上がりしてもいいのか」と反対して見送りになった。しかし環境税が議論になっているときに、こういう「負の炭素税」を残すのはおかしいのではないか。
平均の法人税率が40%なのに、財界系企業が30%以下だということは、法人税にも古い重厚長大企業を保護する「老人バイアス」があることを意味する。また企業の70%以上が赤字法人で、税金を払っていない。このように抜け穴だらけで課税ベースが小さいため、税率を下げられないのだ。赤旗のいうように「大企業優遇税制」をやめれば、税収中立にしても法人税率は25%まで下げられる。
赤字法人に課税するには、売り上げの総額に課税する外形標準税も考えられる。これは東京都が銀行に対して実施し、銀行の訴訟に実質的に敗訴して税収の一部を返還したが、税法を変更すれば不可能ではない。年間の付加価値額260兆円に一律4%課税するだけで、現在の法人税と同じ税収を上げることができる。課税ベースを広げて、薄く広く課税する改革が必要だ。
追記:コメント欄でも書いたが、ナフサの租特は法人税ではないので、赤旗の記事は不正確だ。ただ共産党は、ソニーの海外法人の利益も住友化学のナフサの利益も「課税されるべき利益」として計算していると思われる。