読売新聞によれば、総務省は来年7月のアナログ停波のとき、アンテナ工事が間に合わない世帯がBS経由で地デジ番組を視聴できるようにする「緊急対策」を講じるという。これは私が以前の記事で紹介したBS291~8チャンネルのスクランブルを外すということだ。この対策にはまったく予算はかからない。なぜ総務省は、今までこういう対策をとらなかったのだろうか?


それは団藤保晴氏も指摘するように、「デジタル化は最初からこのBS方式にしていれば現在のような大騒ぎはなかった」と認める結果になるからだ。今のBSチャンネルはSDTVだが、チャンネルは余っているので3チャンネル取ってHDTVにすれば、地デジとまったく同じ放送が全国100%にできる。というか、10年前にできていたのだ。
これについては郵政省(当時)でも議論があり、省内にも「衛星でやれば200億円ですむデジタル化を1兆円以上かけて地上波でやるのはリスクが大きい」という反対論があった。しかし衛星によって「炭焼き小屋」になることを恐れる地方民放の反対で、1万局以上の中継局をすべて建て直す壮大な浪費プロジェクトが決まったのだ。
くわしい経緯は『新・電波利権』に書いたので繰り返さないが、このような無意味なプロジェクトに3000億円以上の国費を投入した地デジは、戦艦大和や青函トンネルにも比すべき大蔵省の「バカ査定」として歴史に残るだろう。
そして10年前から林紘一郎氏や私などが提唱してきた「水平分離」に反対して、氏家会長(当時)が首相官邸に「直訴」までした民放連も、今度の放送法改正に際しては水平分離を強く要望した。経営危機に直面して初めて彼らの目も覚めたのだろうが、残念ながらもう遅い。デジタル化を水平分離で行なえば、インフラは衛星でも光ファイバーでもよかった。無駄な中継局への投資は必要なかったのだ。
この無駄づかいで地方民放がつぶれるのは自業自得だが、これによる電波の浪費は国民全体の損失だ。BSデジタルを2000年に始めたとき、地上波の放送をすべて衛星に移行しておけば、UHFとVHFの400MHz以上を空けることができ、日本は世界トップの無線ブロードバンド先進国になれたはずだ。これから地方民放が全滅すれば、10年ぐらいかけてそうなるだろう。日本の電波行政の「失われた20年」の代償は大きい。
これについては郵政省(当時)でも議論があり、省内にも「衛星でやれば200億円ですむデジタル化を1兆円以上かけて地上波でやるのはリスクが大きい」という反対論があった。しかし衛星によって「炭焼き小屋」になることを恐れる地方民放の反対で、1万局以上の中継局をすべて建て直す壮大な浪費プロジェクトが決まったのだ。
くわしい経緯は『新・電波利権』に書いたので繰り返さないが、このような無意味なプロジェクトに3000億円以上の国費を投入した地デジは、戦艦大和や青函トンネルにも比すべき大蔵省の「バカ査定」として歴史に残るだろう。
そして10年前から林紘一郎氏や私などが提唱してきた「水平分離」に反対して、氏家会長(当時)が首相官邸に「直訴」までした民放連も、今度の放送法改正に際しては水平分離を強く要望した。経営危機に直面して初めて彼らの目も覚めたのだろうが、残念ながらもう遅い。デジタル化を水平分離で行なえば、インフラは衛星でも光ファイバーでもよかった。無駄な中継局への投資は必要なかったのだ。
この無駄づかいで地方民放がつぶれるのは自業自得だが、これによる電波の浪費は国民全体の損失だ。BSデジタルを2000年に始めたとき、地上波の放送をすべて衛星に移行しておけば、UHFとVHFの400MHz以上を空けることができ、日本は世界トップの無線ブロードバンド先進国になれたはずだ。これから地方民放が全滅すれば、10年ぐらいかけてそうなるだろう。日本の電波行政の「失われた20年」の代償は大きい。
自分はテレビをほとんど見ていませんが、その理由の一つは番組の質の低下です。いろいろなリスクを恐れ当たり障りのない内容のない番組を作りタレントというオブラートで包んで提供して、問題が発生したらタレントを切って身の安全を図る。あくまでも根底にある考えが広告収入のための視聴率獲得で、もう見る人はどうでもいい。
国内で地上デジタル放送用テレビは残念ながらかなり普及しています。今更方式を変更しますとも言えないでしょう。来年止めなかったら止めなかったで問題が発生してしまいます。このまま何もせず事態は推移していく、そう自分は思っています。
正しい方向がどういう方向なのかはわかりかねますが、方向転換する際に経済がしっかりしている必要があると思います。でも来年の停波まで持つかどうか。