
これは日本では、労働が単なる所得を得る手段ではなく、会社が人格の一部になっているためだろう。つまり1990年代後半に戦後の日本を満たしていた平和な「空気」が壊れ、失業者は単に所得を失うだけではなく、自分の存在そのものが否定されたと思い込んだのではないか。
本書は、こうした問題を論じたエッセイである。大戦末期に戦艦大和の特攻出撃を命じた軍令部次長の小沢治三郎中将が、戦後になっても「全般の空気よりして、当時も今日も特攻出撃は当然と思う」とのべたことは有名だ。日本軍では、攻撃によって何を達成するかという目標よりも、組織の中での空気の共有が重要だったのだ。
こうした問題は、最近は脳科学でも解明されるようになった。「アスペルガー症候群」というのは、広い意味では自閉症に含まれる人間関係の疾患で、いわば「空気の読めない」病だ。その原因は、前頭葉や扁桃体などによる社会脳の機能が低下していることにあると考えられている。
アスペルガー症候群が空気の読めない病だとすると、ほとんどの日本人は過剰に空気を読む病にかかっているのではないか。電子書籍を始めるときも、印刷業界や電機業界などを集めて「協議会」をつくり、役所におうかがいを立てて官民の「懇談会」をつくり、日本独自のフォーマットの「標準化」をする・・・というように業界の調整ばかりして、何も商品が出てこない。そしていったん走り出したら、戦艦大和のように玉砕するまで止まらない。小沢中将のように無責任な官僚や経営者も跡を絶たない。若者まで「KY」を村八分にする。
アスペルガー症候群の例としては、ビル・ゲイツやスティーブ・ジョブズが有名だ。アインシュタインやヴィトゲンシュタインなどの天才にも、自閉的な症状が見られたという。世の中の空気を読まないで自分の思い込みを押し通すKYからしか、イノベーションは生まれないのである。
アスペルガー症候群が空気の読めない病だとすると、ほとんどの日本人は過剰に空気を読む病にかかっているのではないか。電子書籍を始めるときも、印刷業界や電機業界などを集めて「協議会」をつくり、役所におうかがいを立てて官民の「懇談会」をつくり、日本独自のフォーマットの「標準化」をする・・・というように業界の調整ばかりして、何も商品が出てこない。そしていったん走り出したら、戦艦大和のように玉砕するまで止まらない。小沢中将のように無責任な官僚や経営者も跡を絶たない。若者まで「KY」を村八分にする。
アスペルガー症候群の例としては、ビル・ゲイツやスティーブ・ジョブズが有名だ。アインシュタインやヴィトゲンシュタインなどの天才にも、自閉的な症状が見られたという。世の中の空気を読まないで自分の思い込みを押し通すKYからしか、イノベーションは生まれないのである。
日本人は全体的に村社会的な発想なので、村が崩れると耐えられない人が多いという気がします。つい最近までは終身雇用という会社が一つの村を形成していましたが、通貨危機で景気が一気に悪化すると企業側も村を形成できなくなってしまったのでしょう。
日本人は昔から自殺が多い国ではありますが、これに対する処方箋はないと思います。欧米のように宗教が自殺の歯止めを促していれば増えにくいとは思いますが、無宗教の日本では高齢化や核家族化が進めば、今後も増えていくものと思われます。
どんなに金持ちでも死だけは平等に訪れます。その恐怖を埋めるのも宗教の役割だと思いますが、無宗教の日本では幸福度を引き上げるのは難しいかもしれません。村社会特有のへりくだることを善とする国民性や成功者の足を引っ張る国民性ではイノベーションも起きにくいでしょう。
堀江さんや村上さんの逮捕で、どれだけベンチャー企業やベンチャー精神を持った若者が激減したかを思うと、日本の病巣は計り知れないものがあると思います。田原さんが朝まで生テレビで言ってたことですが、堀江さんが逮捕されたあと、起業家が激減したみたいなことを言っていた記憶があります。幸福度を上げるための一つの手段である「夢」を奪い取ったのも最悪の選択だった気がします。