Economist誌によれば、日本の「失われた20年」の勝ち組は、国債を買った邦銀だ。図のように、なんと78%も値上がりしている。これは歴史上もっとも長いブームの一つだという。

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しかしブームにも、いつか終わりは来る。Bloombergは、それが近く来るかもしれないと予想している。日本の名目GDPは471兆円と、1991年の水準に落ちた。今年の税収は、四半世紀ぶりの低さだ。2010年度予算はかつてない規模にふくらんだが、鳩山首相は財政赤字を抑制する道筋も示していない。高齢化によってまもなく貯蓄は減少に転じ、国債の需給は悪化する。

国債が消化できなくなる非常事態のはるか前から、金利は上がり始める。4月までに1ドル=130円ぐらいまで下落すると、国債の投げ売りが始まる「ティッピングポイント」が来るかもしれないと警告するアナリストもいる。今のところマーケットは平静だが、日本の抱える「メガリスク」は投資家にあまり認識されていない。それはアメリカの住宅バブルがつい最近まで気づかれなかったのと似ている。

日本国債の保有者のほとんどは邦銀なので、対外債務は少ないから、いざとなったら日銀が国債を引き受ければ債務不履行は避けられる。しかし日銀引き受けが行なわれると、1980年代にアルゼンチンで起ったようなハイパーインフレのリスクがある。国債バブルは必ず崩壊するが、地震と同じでいつ崩壊するかはわからない。10年後かもしれないし、今日かもしれない。