正月休みに、3月に出す予定の本の第一稿を書き上げた。最初はこれまで書いた書評の原稿を集めて、ビジネスマン向けのカジュアルな読書案内を書くつもりだったが、民主党の経済政策をみていると、経済学の常識が政治家にも官僚にも共有されていないことが日本経済に非常に有害な結果をもたらすと痛感したので、「経済学の教科書」に1章をさくことにした。
マクロ経済学については、いま学部で使われている日本語の教科書は全部だめ。John Taylorも嘆くように、各国の政策担当者が昔ながらのケインズ理論しか知らないために、有害無益な財政出動が行なわれた。スタンフォード大学では、従来のマクロ経済学を教えるのをやめ、ミクロとマクロを統一したフレームワークで教えるそうだ。ただ残念ながら、学部の教科書には、そういう新しい理論を書いたものが少ない。私の読んだかぎりでは、今のところ中級ではJones、上級ではMankiwぐらいだろう。
その点、ミクロは「枯れている」ので、学部レベルの教科書で十分だ。本書は、教科書としては珍しく、日経新聞や週刊ダイヤモンドで昨年のベスト10に選ばれるなど話題になった。特にⅡは、規制改革のあり方をミクロ経済学を応用して論じている。次のような結論は初等的な練習問題として導けるが、それが理解できない人は本書を読んだほうがいいだろう:
マクロ経済学については、いま学部で使われている日本語の教科書は全部だめ。John Taylorも嘆くように、各国の政策担当者が昔ながらのケインズ理論しか知らないために、有害無益な財政出動が行なわれた。スタンフォード大学では、従来のマクロ経済学を教えるのをやめ、ミクロとマクロを統一したフレームワークで教えるそうだ。ただ残念ながら、学部の教科書には、そういう新しい理論を書いたものが少ない。私の読んだかぎりでは、今のところ中級ではJones、上級ではMankiwぐらいだろう。
その点、ミクロは「枯れている」ので、学部レベルの教科書で十分だ。本書は、教科書としては珍しく、日経新聞や週刊ダイヤモンドで昨年のベスト10に選ばれるなど話題になった。特にⅡは、規制改革のあり方をミクロ経済学を応用して論じている。次のような結論は初等的な練習問題として導けるが、それが理解できない人は本書を読んだほうがいいだろう:
- 最低賃金を引き上げると失業が増える
- 雇用規制を強めると非正規労働者が困る
- 家賃規制や「借り手保護」を強めると借り手が困る
- 高速道路を無料化すると、混雑がひどくなって社会的にはマイナス
- 子ども手当や農業所得補償のような「集団再分配」より負の所得税のような「個人再分配」のほうが公平で効率的
- 高校無償化のような公立学校だけを補助する再分配より教育バウチャーのほうが公平で効率的
- 「都市と地方の格差是正」と称して行なわれる地方交付税や「ユニバーサルサービス」の義務づけは非効率