日本人はニーチェが好きだ。彼はヨーロッパ(特にドイツ)では無神論者としてきらわれているが、日本では『超訳 ニーチェの言葉』などという偽書が100万部以上も売れた。その中身は「初めの一歩は自分への尊敬から」とか「いつも機嫌よく生きるコツ」といったハウツーものだ。天然ニヒリストの日本人にとっては、神が死んだかどうかなんてどうでもいいのだろう。
他方で日本には、大塚久雄以来の「ウェーバー学」の伝統がある。これは講座派マルクス主義の変種で、『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』を金科玉条として「日本人の精神的自立」を説くもので、膨大な文献学の蓄積がある。
こうした近代化論的なウェーバーの読み方は日本特有のもので、歴史学では『プロ倫』は否定されている。『世界宗教の経済倫理』などの宗教社会学も、ドイツ語訳の2次文献に依拠したもので、学問的価値はほとんどない。
本書はこういう日本的な読み方を離れ、彼がニーチェの影響を強く受けたという観点から、いわば「ヨーロッパのニヒリズム」の終着点としてウェーバーの思想を考えるものだ。
続きは3月11日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンで(初月無料)
他方で日本には、大塚久雄以来の「ウェーバー学」の伝統がある。これは講座派マルクス主義の変種で、『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』を金科玉条として「日本人の精神的自立」を説くもので、膨大な文献学の蓄積がある。
こうした近代化論的なウェーバーの読み方は日本特有のもので、歴史学では『プロ倫』は否定されている。『世界宗教の経済倫理』などの宗教社会学も、ドイツ語訳の2次文献に依拠したもので、学問的価値はほとんどない。
本書はこういう日本的な読み方を離れ、彼がニーチェの影響を強く受けたという観点から、いわば「ヨーロッパのニヒリズム」の終着点としてウェーバーの思想を考えるものだ。
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