雇用調整助成金(業績の悪化した企業が休職中の労働者に出す休業手当の一部を政府が補助する制度)の支給が、昨年秋に厚労省が方針転換したため激増し、図のように昨年9月には約2000人だった対象者が、1年で約200万人と1000倍になった。厚労省は、民主党政権の方針を受けてこの支給対象をさらに広げる方針だ。

雇用調整助成金の支給対象事業所と対象者数(厚労省調べ)
このように社内失業者の労働保持を奨励する政策は、景気が急速に悪化したときの緊急避難としてはやむをえないが、90年代に邦銀の行なったゾンビ企業への「追い貸し」と同じく、人的資源の再配分をさまたげる。今週のEconomist誌も、欧州で行なわれている同様の労働保持や「ワークシェアリング」への補助金が経済の回復を遅らせると批判している。
金融危機の震源地となったアメリカの失業率が上がったのは当然だが、それでも9.8%。欧州でもっとも手厚い失業対策事業を行なっているスペインは19.3%、欧州の平均でも9.7%だ。過去25年の平均失業率をとると、フランスの9.5%、ドイツの9.1%に対して、アメリカは5.8%である。雇用規制の強さと失業率に正の相関があるのは、かなり普遍的な経験則である。解雇の困難な国では、企業は新規採用に消極的になるからだ。長期的には、「労働者保護」は労働者のためにならないのだ。
Economist誌が提案しているのは、労働保持によって中高年労働者の既得権を守る政策ではなく、新入社員には雇用保険料を免除するなど、新規採用のインセンティブを高める政策である。日本の異常な労働保持政策についても出口戦略を考えないと、経済停滞はますます長期化するだろう。

雇用調整助成金の支給対象事業所と対象者数(厚労省調べ)
このように社内失業者の労働保持を奨励する政策は、景気が急速に悪化したときの緊急避難としてはやむをえないが、90年代に邦銀の行なったゾンビ企業への「追い貸し」と同じく、人的資源の再配分をさまたげる。今週のEconomist誌も、欧州で行なわれている同様の労働保持や「ワークシェアリング」への補助金が経済の回復を遅らせると批判している。
金融危機の震源地となったアメリカの失業率が上がったのは当然だが、それでも9.8%。欧州でもっとも手厚い失業対策事業を行なっているスペインは19.3%、欧州の平均でも9.7%だ。過去25年の平均失業率をとると、フランスの9.5%、ドイツの9.1%に対して、アメリカは5.8%である。雇用規制の強さと失業率に正の相関があるのは、かなり普遍的な経験則である。解雇の困難な国では、企業は新規採用に消極的になるからだ。長期的には、「労働者保護」は労働者のためにならないのだ。
Economist誌が提案しているのは、労働保持によって中高年労働者の既得権を守る政策ではなく、新入社員には雇用保険料を免除するなど、新規採用のインセンティブを高める政策である。日本の異常な労働保持政策についても出口戦略を考えないと、経済停滞はますます長期化するだろう。


