"The White Man's Burden"の邦訳。開発経済学というのは、かつてはマイナーな学問だったが、最近は注目を集めている。マクロ経済学の関心が短期的な景気循環から長期的な成長理論に移り、先進国でも「成長戦略」が重要な問題になってきたからだ。他方、途上国は賢明な政府が指導すればいいという昔ながらの開発経済学も役に立たないことが判明し、両者の問題はかなり共通していることがわかってきた。

先進国にも途上国にもいえるのは、著者も指摘するように、政府の温情主義は有害無益だということである。経済を成長させるためには、民間人がまじめに働き、自由な市場経済が機能することが必要条件で、政府の役割は、そうしたシステムが機能するための制度的なインフラを構築すること以上でも以下でもない。家父長的な政府が「ビジョン」を描いて指導する産業政策は、先進国でも途上国でも機能しない。この意味で本書は、これから成長戦略を勉強する民主党のみなさんにも役立つだろう。