民主党の幹事長に小沢一郎氏が内定し、「二重権力」が懸念されているが、先日の「闇将軍」の記事を書いたTobias Harrisは、小沢氏は過去の失敗から学んだはずだと期待している。私も、16年前とは状況が違うので、あのときのような混乱は起こらないと思う。その理由は、諸悪の根源だった社会党が消滅したからだ。
細川内閣は偶然の産物で、連立政権といっても統一した政策はほとんどなく、与党第一党は社会党だった。内閣が崩壊した遠因は、今では記憶している人も少ないと思うが、社会党の山花貞夫委員長の「敗戦の弁」だった。彼は社会党の右派で、党内の主流だった左派の反対を押し切って連立に参加し、政治改革担当相として入閣した。ところが組閣後の幹部会で「敗北の責任をとる」と言い出した。
山花は、当選者は減ったとはいえ政権を取ったのだから慰留されると思って修辞的に言ったのだが、党内では「踏まれてもついて行きます下駄の雪」と揶揄された新生党の小沢代表幹事の強引な政権運営に対する不満がつのっていたため、山花の辞意は承認されてしまった。次の委員長選挙で左派の村山富市氏が当選し、政権の中で同じく不満分子だった武村正義さきがけ代表が村山氏を抱き込んで自民党と手を結んだ。
武村氏は連立政権で総理の座をねらっていたが、それを小沢氏に阻止されたため、社会党の野坂浩賢と自民党の梶山静六などが「国対ルート」で築いた人間関係を利用して、社会党の委員長を首相にするという「禁じ手」を使って、連立政権を倒すクーデタを実行した。このとき小沢氏は海部俊樹氏を引き込んで「保保連立」をはかろうとしていたが、武村氏はその裏をかき、政局のために政治理念を捨てて自社を野合させてしまったのだ。
これがその後の日本政治の迷走の原因であり、混乱の主犯は小沢氏ではなく、理念なき「バルカン政治家」武村氏である。その後、鳩山兄弟が民主党を結成したとき、このときの武村氏の策動を批判し、「排除の論理」で彼の参加を拒んだ。したがって鳩山由紀夫氏も、さきがけの失敗の原因が理念を捨てて政局に走ったことだと考えているだろうから、その失敗は繰り返さないと思う。
それにもう社民党は、参議院では5議席もっているだけのゴミみたいな政党だ。民主党も一応、連立協議をしているが、象とアリぐらいの差があるので、「下駄の雪」扱いしたってかまわない。社民党が「インド洋の給油反対」などの極左的な方針をとったら、たたき出せばいいのである。政権を離れたら誰も相手にしないので、鳩山氏もご存じのナッシュ交渉解でいえば、社民党の威嚇点(交渉が決裂した場合の利得)はゼロに等しく、いくら脅してもついてこざるをえない。
この16年、日本政治を迷走させてきた一つの要因は小沢氏の失敗だが、本当の原因は政権を取る気もないのに「総評(連合)政治部」として労働組合の既得権を主張し、「何でも反対」の幼児的な政策を唱え続けてきた社会党と、それを利用して政権を延命した自民党である。このように「政策より政局」を旨としてきた無内容な政党が政権から追放されたのは一歩前進だ。あとは来年の参院選で社民党が消滅し、民主党の単独政権になれば、日本の政治も変わるだろう。
細川内閣は偶然の産物で、連立政権といっても統一した政策はほとんどなく、与党第一党は社会党だった。内閣が崩壊した遠因は、今では記憶している人も少ないと思うが、社会党の山花貞夫委員長の「敗戦の弁」だった。彼は社会党の右派で、党内の主流だった左派の反対を押し切って連立に参加し、政治改革担当相として入閣した。ところが組閣後の幹部会で「敗北の責任をとる」と言い出した。
山花は、当選者は減ったとはいえ政権を取ったのだから慰留されると思って修辞的に言ったのだが、党内では「踏まれてもついて行きます下駄の雪」と揶揄された新生党の小沢代表幹事の強引な政権運営に対する不満がつのっていたため、山花の辞意は承認されてしまった。次の委員長選挙で左派の村山富市氏が当選し、政権の中で同じく不満分子だった武村正義さきがけ代表が村山氏を抱き込んで自民党と手を結んだ。
武村氏は連立政権で総理の座をねらっていたが、それを小沢氏に阻止されたため、社会党の野坂浩賢と自民党の梶山静六などが「国対ルート」で築いた人間関係を利用して、社会党の委員長を首相にするという「禁じ手」を使って、連立政権を倒すクーデタを実行した。このとき小沢氏は海部俊樹氏を引き込んで「保保連立」をはかろうとしていたが、武村氏はその裏をかき、政局のために政治理念を捨てて自社を野合させてしまったのだ。
これがその後の日本政治の迷走の原因であり、混乱の主犯は小沢氏ではなく、理念なき「バルカン政治家」武村氏である。その後、鳩山兄弟が民主党を結成したとき、このときの武村氏の策動を批判し、「排除の論理」で彼の参加を拒んだ。したがって鳩山由紀夫氏も、さきがけの失敗の原因が理念を捨てて政局に走ったことだと考えているだろうから、その失敗は繰り返さないと思う。
それにもう社民党は、参議院では5議席もっているだけのゴミみたいな政党だ。民主党も一応、連立協議をしているが、象とアリぐらいの差があるので、「下駄の雪」扱いしたってかまわない。社民党が「インド洋の給油反対」などの極左的な方針をとったら、たたき出せばいいのである。政権を離れたら誰も相手にしないので、鳩山氏もご存じのナッシュ交渉解でいえば、社民党の威嚇点(交渉が決裂した場合の利得)はゼロに等しく、いくら脅してもついてこざるをえない。
この16年、日本政治を迷走させてきた一つの要因は小沢氏の失敗だが、本当の原因は政権を取る気もないのに「総評(連合)政治部」として労働組合の既得権を主張し、「何でも反対」の幼児的な政策を唱え続けてきた社会党と、それを利用して政権を延命した自民党である。このように「政策より政局」を旨としてきた無内容な政党が政権から追放されたのは一歩前進だ。あとは来年の参院選で社民党が消滅し、民主党の単独政権になれば、日本の政治も変わるだろう。