コメント一覧 (6)
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- 2009年08月24日 23:09
- 3冊とも買いました。市場の変相はまだ読んでないものの、ブラック・スワン、マンデルブロ(禁断の市場)と立て続けに読みました。禁断の市場のほうが衒学的でなく、一般受けはすると思います。
ここに上がっていないもので面白かったのは、実践行動経済学、知の巨人 ドラッカー自伝、メルトダウンです。
特にメルトダウンは、オーストリア学派の本が普通の書店に大々的に並ぶとは驚きでした。
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- 2009年08月24日 23:46
- 市場の変相
池田先生のレビューを拝見し3月第1刷を購入しました。
訳者もあとがきで指摘しているように、「サブプライムローン危機がどれだけ深刻な問題を内包しているのか、本書が事実上予測していた点だ」とありました。私にとっては難解でしたが、それだけに読みごたえのある本でした。
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- 2009年08月25日 06:38
- 今までに起こった経済的失敗のおおもとの原因は今日の経済システムを構築した当事者(人類)がシステムに内在する根本的な性質を熟知していなかったことにつきるでしょう。はたして、これらの本が失敗の本質に迫っているのかじっくり読みたいと思います。
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- 2009年08月26日 19:37
- ブラック・スワンが大空を駆る日(1)
ブラック・スワン上下を本屋で手に取った.サブプライム禍の前に書かれたというが,著者ナシーム・タレブは優秀なトレーダーであり,金融工学の専門家であるから,現状を見て奇禍が遠からず生じるという確信が常に頭にあったのだろう.
白鳥は白い鳥であるという仮説は,オーストラリアで見つかったたった1羽の黒い白鳥で否定された.自然科学系の学会で白いカラスはいるかという面白い議論があったことを思い出した.自然科学では,一般に対象相手は人間ではなく意識,思考力をもたない,生物を含む自然現象である(最近は進化心理学とか人間の行動を対象とする融合領域もある).それゆえ,帰納法による仮説は充分通用する.太陽が西から上がるという可能性を特に考慮する必要はない.すなわち,過去の経験あるいは実験で得たデータを常識的に考察することによって仮説を建てることができる.その仮説を,演繹法を用いて,様々の視点から検証することによって,より高い信頼性を得てゆく.一方,その仮説が否定される場合もある.たった1羽の黒い白鳥の発見によってその仮説は誤りとして棄却される.これが,科学哲学者カール・ポパーのいう科学仮説の“反証可能性”である.
人間の意思,恣意が大きな影響力をもつ人文科学,特に経済学では自然科学の方法は通用しない場合があると,私は思う.サブプライム禍は百億年に1回程度という.つまり生じる確率が百億分の1ということであろう.どういう計算からこの数値が出てきたのか知らないが,以下のような想像をしてみる.お金は物と物を交換するための単なる手段であって,本質的には無価値であるが,それは必ず必要な財・サービスと交換できるというそれを手にする者の無意識の信頼がその価値幻想を支えている.その幻想が破れ,お金が無価値に回帰することは経済を基盤とする人間社会を根底から破壊することになる.それゆえに,財貨への信頼を失ってはならない.こういった健康(健全)な強い確固たる意識,いわばコンプライアンス遵守意識を政治家から一国民に至るまで総てがもっている場合,それをなにかの偶然によって万一すり抜けることがあっても,セキュリティーが正しく機能する.第一のセキュリティーをすり抜けても,第二のセキュリティーがある.こうして,すり抜けること何万分の1の確率のセキュリティーを幾重にも突破する可能性は,それぞれのセキュリティーのすり抜け可能確率の積となるが故に,百億分の1程度という数値が出てくるのであろう.
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- 2009年08月27日 19:47
- ブラック・スワンが大空を駆る日(2)
コンプライアンスを堅持し,より高めようという気運がみなぎっている場合,その確率は,正しく百億分の1であろう.しかし,人間の意識は変化する.
1.政治家をはじめ,その社会を構成する殆どの人間がルール,制度は遵守し,従うものと固く信じている.当たり前すぎて疑問をもつことすらない.2.何故,ルール,制度はあるのか,その意味を考えてみよ.発展のために協調,協力し,他国との競争に打ち勝ち,自らが生き残るためである.EUや日本が間の抜けたことをした.あろうことか,自ら進んで拘束衣を着込みその苦しさにあがいているではないか.この状態であれば,我々がそんなにガチガチにならずとも負けることはないではないか.3.確かにルール,制度を守ることは大切である.しかし,物事には高所からの大局的な判断が必要な場合もある.現状をよく見てどうすることが最も望ましいかを見極めることが求められる.これを誤れば,競争者に遅れ,敗北を招くだろう.4.ルールは守らねばならない.表向きは誰もそういう.しかし今や,実際には守っている人は殆どいない.見つかれば処罰の対象となるかも知れないが,自分の責任で状況判断を誰もがやっている.そうでなければ,やっていけないのが現状だ.5.ルール,制度は,経済状態が全く異なる過去の遺物であり,逆に現在の発展を妨げている.寧ろ破壊して,新しいシステムを創造するべき時が来ている.でなければ我々は世界に伍していけないだろう.
1から4,5へシフトするのにどれくらいの時間がいるだろうか.何十億分の1,何百億分の1という数値は,大半の人間が1の状態にある時であって,4,5になればもはやその決めごとを守るためのセキュリティーは機能しない.何故なら結局は人間が作動させるからである.社会においてその意志がもはや失われているなら,いくらでも細工し無効にすることができる.サブプライム禍で起こったこと,そしてタレブが言いたいことはこれではないのか.2は1997年,アメリカが京都議定書による取り決めを離脱した年である.これが米国のターニングポイントになったのではないか.サブプライムローンの証券化やさらにCDSが最初は粛々と販売され,そして脱兎のごとく・・・3,4へのシフトは数年~10年であっただろう.
円は大切である.それを集めるために皆必死で働いてきた.それが紙くずになるのなら我々は何のために働いてきたのか.しかし,今や日本は千兆にならんとする負債を抱える.それを返済するにはインフレを起こせばよい.大切にしてきた円への信頼が幻想であったと証明するようなものであるが,やむを得ない.政治家の半数と国民の半数がそう考えれば,あっという間に起こすことが出来ると思う.セキュリティーが正しく機能するかどうかは,その時に居合わせた人間の意思次第である.
では,意思,恣意をもつ人間にとって,普遍的な制御のための法則はあるのか.タレブはそれはないと言う.私はあると思う.ポパーがいかさま師と呼んだヘーゲルの絶対知に私はそれが隠れているように思う.
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タレブ読んだ!!!というかタレブのまぐれしかまだ読んでいない。その本にブラックスワンのことが書かれていて気になっていたのに、まだ読んでいない…このままだとブックオフで買いそうです。電子出版されていたらいいな…ちょっと確認