
利己的な欲望を肯定する資本主義は、人々の自然な倫理観にあわないという欠陥を抱えており、これを「超克」しようとする運動は、マルクスから北一輝に至るまで無数に繰り返されてきた。イスラム原理主義も、こうした「裏返しのモダニズム」の一種である。
しかしこの種の思想がもたらしたのは、資本主義よりはるかに悲惨な世界だった。「新自由主義」を敵視する自民党・民主党の温情主義も、こうした反モダニズムを薄めたもので、市場メカニズムを理解しないでそれを否定する点でも、アルカイダと大した違いはない。
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私には、新自由主義を知らない経済学者やエコノミストが、新自由主義を非難したり擁護したりしている、という気がしてどうにもならないのですね。私が知る経済学者やエコノミストの中にも、新自由主義はイギリスの思想であってアメリカの思想ではないということさえ知らない人がいます。日本の経済学者やエコノミストのレベルが低いせいなのかもしれないですけど、それが政策の間違いにつながってしまう場合もあるわけで、困ったものだと思うことがあります。
新自由主義というのは、サッチャー時代からブレア時代までの約20年間を、十九世紀のイギリスで起きた約20年間の自由主義時代の反復であると考える思想です。ヨーロッパでは、約20年の自由主義時代の後、約20年の大不況時代に突入します。したがってヨーロッパでは、現在を大不況時代の反復であるとの考えが強い。そして、大不況時代に産業革命が一次産業革命から二次産業革命に変遷したとの歴史認識から、現在は
三次産業革命の入り口であるとの考えが強い。私の見るところ、彼らはその方向で政治や経済をドリブルしようとしてますよ。
私は、市場の奴隷になれと言っているような、「古い市場原理主義」には抵抗しますが、新自由主義というのはそんなにバカな思想ではないですよ。今は新自由主義時代が終わり、世界同時不況時代に突入しているわけですが、歴史から学べば何をすればよいのかはわかるはずなんですが、それが分かっている人は少数でしょう。その少数ががんばるしかないと思ってはいますが。