池尾・池田本で「外需主導を脱却して内需を拡大する必要がある」と書いたとき、一つ心配があった。これを前川リポートと同一視されると、あのときのように内需拡大が「公共投資の拡大」と誤解されるおそれがあったからだ。その懸念は、残念ながら現実になってしまった。民主党のマニフェストは「成長戦略」についての修正で、
成長戦略とは、みんなの党だけが正しく認識しているように、「生産要素を成長分野に再配分」することによって経済の効率を高めることだ。これはゼロサムの所得分配とはまったく別の問題であり、民主党のマニフェストはこの基本的な考え方を理解していない。税金のバラマキによる「内需拡大」がいかに悲惨な結果をもたらすか、われわれは90年代に学んだはずだ。
子ども手当、高校無償化、高速道路無料化、暫定税率廃止などの政策により、家計の可処分所得を増やし、消費を拡大します。それによって日本の経済を内需主導型へ転換し、安定した経済成長を実現します。と書いているが、これは誤りである。このような「内需」の財源はすべて税か国債であり、所得再分配にすぎない。たとえば子供手当をもらう家庭の可処分所得の増加は、配偶者控除や扶養控除を減らされる子供のない家庭の可処分所得の減少で相殺されるので、ネットの消費は増えない。
成長戦略とは、みんなの党だけが正しく認識しているように、「生産要素を成長分野に再配分」することによって経済の効率を高めることだ。これはゼロサムの所得分配とはまったく別の問題であり、民主党のマニフェストはこの基本的な考え方を理解していない。税金のバラマキによる「内需拡大」がいかに悲惨な結果をもたらすか、われわれは90年代に学んだはずだ。
不勉強な政治家ほどIT産業が成長分野であると思い込んでいるところがありますよ。だから私は、そんな時代ではなくなっているのではないかと思うようにしています。私には、資源エネルギー分野とか、水や食料のほうが大きい気がするのです。
大事なのは、IT産業ではなくて、IT産業の失敗を繰り返さないということでしょう。
以前、あるメーカーの技術者から、「上の人は、いつも、売れる物をつくれと言います」と聞かされたことがあります。「売れなかったときは、誰が責任を取るのですか?」と質問したところ、「つくるほうでしょう」と言われました。「営業サイドから、売れなかったときはこちらで責任をとるからこういうものをつくってくれ、といった話はないのですか?」と質問したところ、「ありません」と言われましたね。
経済の専門家のみなさんは、いろいろおっしゃいますが、日本のIT産業がダメになったのは、メーカーの営業が販売店の上に座ってアグラをかいているだけだったから、といったことのほうが意外に大きいのではありませんか?これからの成長分野で、そのような間違いだけは、あってはならないと思います。
私には、太陽電池より熱電電池のほうが新エネルギーの本命ではないかという気がします。これは東芝のプレスリリースですが、日立やコマツもかなり力を入れているようです。
http://www.toshiba.co.jp/about/press/2004_03/pr_j2901.htm
こういったイノベーションに対して国が責任を負う体制が必要だというのなら、そうしないといけない。ところが勉強不足の政治家は、「それより太陽電池だ」と言ってしまいかねないわけです。結局、官僚任せになってしまう。民主党が政権を取るのであれば、議員にはもっと勉強してもらいたいですね。あまり勉強しないような人たちが議員なるような気がして、少し心配です。