
こうした無駄をなるべく減らそうというのが経済学の思想だが、これって自然界にはほとんどない発想だ。たとえば生物が進化で生き延びるためにとる戦略は、なるべく多くの卵を産んで、そこからもっともすぐれた(複製能力の高い)個体が生き残るようにすることだ。図のように、クロマグロは100万個もの卵を産む。

ウェブの世界も、新古典派経済学よりクロマグロに近づいている。YouTubeには1億本以上のビデオが投稿されているが、その95%以上は数回しか再生されない。それでもSusan Boyleのように、2億回再生されるビデオが1本でもあれば、YouTubeは全世界からアクセスを集めることができる。これが従来とはまったく逆の「浪費する経済学」を生むかもしれないし、生まないかもしれない。まずいろいろやってみよう。考えるのはタダだから。