アニマルスピリットAkerlof-Shillerの訳本が早くも来週、出るようだ。ケインズの「アニマル・スピリッツ」という言葉をいささか広義に使いすぎているきらいもあるが、経済危機を克服するには「信頼」の形成が重要で、それが乗数効果(外部性)をもつという議論は、現状を考える上で役に立つ。記述も専門的でなく、おもしろく書けているので、ビジネスマンにもおすすめできる。

今の日本に必要なのも、投資家や起業家のアニマル・スピリッツだろう。それを高める上で重要なのは財政・金融などの物量的な政策ではなく、本書もいうように人々を説得する「物語」である。パレート効率的なfocal pointが存在する場合には、政府が一貫した物語を語ることによってアニマル・スピリッツを改善できる、という著者の主張は、政府の役割を過大評価するものだという批判もあるが、日本の悲惨な状況をみていると、信頼されない政府が有害であることは間違いない。