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著者も問題にするのは、新卒のとき一生が保証される正社員と、毎年契約が更改される契約社員・派遣社員の格差があまりにも大きく、その中間の雇用形態がないことだ。その解決策として彼が提案するのは、正社員と契約社員の中間の「新正社員」だ。これは正社員のように全国を転勤するのではなく、地域や職種を限定し、その代わり解雇規制を緩和して、事業を縮小するときは解雇できるようにするものだ。これによって契約社員の雇用を安定化できる。
私は、同じように雇用のポートフォリオを連続にするために、5年とか10年の長期契約を認めるべきだと思う。今の労働基準法では、3年以上の長期契約を原則禁止している。これは終身雇用(無期契約)だけが正しい雇用形態で、長期契約を結ぶぐらいなら正社員にしろという意味だが、かえって不安定な短期契約の反復をもたらしている。多様な契約を可能にするためにも、正社員の解雇規制を緩和する必要がある。現状では正社員の雇用保護が絶対的なので、有期契約で中核的な人材は集められない。
著者もいうように長期雇用は日本企業に定着しており、解雇規制を緩和しても正社員がどんどんクビにされることはありえない。重要なのは、新卒のときの一発勝負で人生が決まる、労使双方にとってリスキーな雇用形態を多様化することだ。場当たり的な規制強化を繰り返すのではなく、柔軟で多様な雇用形態を実現するための雇用規制の包括的な見直しが必要だ。
*アマゾンのタイトルの表記が「用の常識」になってますよ(修正された)。