初学者より
現在、米国で進行中のハイパーインフレかデフレかの論争は、政治的なものと理解したほうがよいとおもいます。
インフレが不利益なのはおもに金持ちで、デフレで特に苦しむのは不況がつづき職を失うひとたちです。
例えば、ハイパーインフレが起きると主張している一流大学の経済学者が書いた次の記事にも、おかしなことがかいてあります。
http://www.nytimes.com/2009/05/04/opinion/04meltzer.html?_r=1
Besides, no country facing enormous budget deficits, rapid growth in the money supply and the prospect of a sustained currency devaluation as we are has ever experienced deflation. These factors are harbingers of inflation.
初めのふたつの条件は、日本で永くつづきましたし、この期間中には、円安になったこともあります。それでも、デフレ傾向がつづいたとおもいます。
Milton Friedman often said that ”inflation was always and everywhere a monetary phenomenon.”
これも、流動性の罠がおきると正しくありません。
>マネーサプライとインフレの関係を何故定量的に説明出来ないのでしょうか。
マネーサプライ M をGDP Y の増加率以上に増やせば、インフレになるというのがマネタリズムです。M / P = Y /v において Pが物価指数、vはマネーの流通速度です。ところが、Mが増えてもvが小さくなると、Pは増加しません。
実質金利が未来永劫にゼロもしくは負でありマネーサプライが増加すれば、確実にインフレが起きます。実質金利=名目金利-インフレ率です。ところが、日本とか米国の中央銀行がこうした政策をとるとはだれもおもわないのです。
Mankiew氏の教科書では、インフレ率@t=インフレ率@t+1の期待値 + k*(Y@t -Y*@t)となっていたとおもいます。Y*は自然なGDPです。
ということは、みんながインフレを予想すれば
インフレが起きるということです。デフレについてもしかり。今は、Y@t -Y*@tが負ですから、デフレ圧力が強いわけです。
私個人としては、年金で暮らすことになりますので、デフレのほうが有利なのですが、景気の悪いのは楽しくないですから、デフレにならないことを願っています。
オバマ政権の経済政策がなんとかうまくいけば、共和党としては壊滅的な打撃を受けることになります。そこで、共和党の支持者のあるひとたちは、ハイパーインフレになるといい、またべつのひとたちは、インフレは起こそうと思ってもおこせないと主張しているようです。
昨年の税金の還付の30%しか消費にまわらなかったにもかかわらず、減税減税といった主張もされています。
よくわからないのですが、なぜ、ハイパーインフレ(ジンバブエ)かデフレなのでしょうか?内乱や戦争やそれに近い政府の腐敗がないかぎり、過度の金融緩和や財政状況の悪化は20~30%位の比較的マイルドなインフレ(その国の国民にとっては十分ハイパーでしょうが)を引き起こす程度で済むのではないのですか?しろうと丸出しの質問ですが、(池田先生はお忙しいと思いますので、)どなたか経済に詳しい方、教えていただければ幸いです。