
中国の食糧輸入増はブラジルなどの増産で埋め合わされ、輸入量は減り始めている。「人口爆発で数十億人が餓える」というのも嘘で、2040年ごろをピークとして世界の人口は減り始める可能性がある。農地にはまだまだ余裕があり、農業技術の生産性も今の数倍になる余地がある。問題は食糧の絶対量ではなく、それを買う経済力である。2007~8年の穀物価格の暴騰によって途上国は食糧危機に見舞われたが、日本ではあんパンが10円値上げになっただけだ。地球が温暖化すれば、食糧生産は増える。
本書では、こうした事実が具体的なデータで明らかにされている。常識をわきまえている人は今さら読む必要はないが、「食糧自給率100%をめざす」などという愚かな政策を掲げている民主党の議員には、ぜひ読んでほしいものだ。