「有識者会合」の貧しい議論は、この国の民主主義の厚みを反映しているのだろう。他方アメリカでは、ウェブがジャーナリズムの一角を占めはじめた、とTIME誌は評価している。
Huffington Postは月間890万人の読者を集め、ニュースサイトの15位に入っている。これはワシントンポストの下、BBCの上である。スタッフは55人とローカル紙程度だが、その影響力はオバマ大統領を生んだパワーの一つとされ、新聞サイトがその作り方をまねはじめている。最近、紙の新聞をやめてウェブに特化したSeattle Postは、HuffPoと同じようにブログを前面に出すレイアウトになった。「アゴラ」も、4月から正式サービスを開始する。ライブドアの協力で、少しニュース的な要素も入れる予定だ。HuffPoには及びもつかないが、日本に民主主義が根づくためにも、こういう議論の場が必要だと思う。
HuffPoにはAPなどから配信されたニュースや著名人のコラムもあるが、その最大の強みは読者からの情報提供である。読者のコメントは月間100万を超え、投稿するブロガーは3000人に及ぶ。内容は政治的な意見からゴシップまであり、しばしば一般メディアに出ないスクープを飛ばす(誤報もあるが)。一次情報を取材するスタッフはほとんどいないため、既存メディアからは「フリーライダー」と批判されるが、読者が膨大な情報に埋もれているウェブでは、自分に必要な情報が一通り読めるサイトにも価値がある。