私がRSSリーダーに入れている"The Big Picture"の管理人、Barry Ritholtzの本"Bailout Nation"の発売が、1月中旬から何度も遅れていたが、結局、発売中止になった。
版元(McGraw-Hill)の説明では「事実の確認が取れない」というのが理由だが、Ritholtzがくわしく説明しているように、これは嘘である。本当の理由は、McGH社と同じ持ち株会社の傘下にあるS&Pを、Ritholtzが「ポン引き」と書いたことだ。編集者の反対によって彼は原稿を「外交的に」書き直したが、McGH社は最終的に出版中止を決めた。オリジナルの原稿をみても、表現はやや穏当を欠くとはいえ、格付け会社が債券の発行元から手数料をもらって格付けを行なうのは、ポン引きが娼婦を格付けするようなもので客観性は期待できない――というのはごく当たり前の話で、今どき目新しくもない。
このエピソードは、バブル崩壊のたびに問題になる利益相反の皮肉な例だ。ITバブルのときは、ベンチャー企業のIPOを引き受けた投資銀行のアナリストがバブルをあおり、エンロンのときは監査をやったアーサー・アンダーセンがコンサルティングもやっていた。Ritholtzが批判したのは、まさにこうしたcorporate entanglementだったのである。
版元(McGraw-Hill)の説明では「事実の確認が取れない」というのが理由だが、Ritholtzがくわしく説明しているように、これは嘘である。本当の理由は、McGH社と同じ持ち株会社の傘下にあるS&Pを、Ritholtzが「ポン引き」と書いたことだ。編集者の反対によって彼は原稿を「外交的に」書き直したが、McGH社は最終的に出版中止を決めた。オリジナルの原稿をみても、表現はやや穏当を欠くとはいえ、格付け会社が債券の発行元から手数料をもらって格付けを行なうのは、ポン引きが娼婦を格付けするようなもので客観性は期待できない――というのはごく当たり前の話で、今どき目新しくもない。
このエピソードは、バブル崩壊のたびに問題になる利益相反の皮肉な例だ。ITバブルのときは、ベンチャー企業のIPOを引き受けた投資銀行のアナリストがバブルをあおり、エンロンのときは監査をやったアーサー・アンダーセンがコンサルティングもやっていた。Ritholtzが批判したのは、まさにこうしたcorporate entanglementだったのである。