オバマ政権による史上最大の景気対策が成立したが、マーケットも経済学者も、その効果には懐疑的だ。Becker-Murphyは次のように論じている:
  1. 財政支出の乗数効果は1より小さい
  2. 支出の増加は一時的なものと想定されているが、利益団体にいつまでも食い物にされる
  3. 刺激策の消費者や企業への効果は、短期的なGDP創出だけではなく支出の価値で決まる
  4. 財政支出の増加は最終的には増税にはねかえり、消費や投資を抑制する
財政政策の目的は短期的な刺激ではなく、長期的な成長への投資だというオバマ政権の方針は正しいが、ブローバンドや環境技術への投資は、短期的な景気対策にはならない。逆に短期的に効果が出ることを優先すると、非効率になる。1年半で8000億ドル(イラク戦争の戦費を上回る)もの税金を使い切る拙速な公共投資は、浪費になるおそれが強い。短期の目的と長期の目的にトレードオフがあるという事実を認識することが重要だ。