大竹文雄氏が、WEDGEで解雇規制について書いている:
整理解雇の4要件のうち、「解雇回避努力」の中には、非正規雇用の削減や新卒採用の停止が含まれており、今回のような不況期には雇い止めという形で、まず「非正規切り」を実施することが司法サイドからも要請されているわけである。[・・・]つまり、非正規社員を雇用の調整弁と位置づけ、正社員の解雇規制と賃金を守っていくという戦略に、経団連と連合の利害が一致したのだ

したがって、労働市場の二極化に歯止めをかけるためには、非正規社員と正社員の雇用保障の差を小さくする必要がある。たとえば「正社員の労務費削減を非正規社員削減の必要条件とする」あるいは、「非正規社員を削減するのであれば、正社員も一定程度削減しなければならない」というルールを、立法措置によって導入することは直接的な手法となる。
大竹氏は、定期借地権をヒントにした10年程度の「任期つき雇用制度」などによって、雇用形態を多様化することを提案している。景気変動のショックを非正規労働者にしわ寄せする現在の雇用制度は、中高年の余剰人員を残す一方で、若年労働者の技能蓄積をはばみ、日本経済の潜在成長率を低下させるおそれが強い。このような身分差別を撤廃し、正社員の雇用保障を非正規社員に近づけることが合理的である。