小倉さんがまだ納得できないようなので、少し解説しておこう。彼はこう書く:

要するに雇用者報酬とか労働分配率なんて景気の派生的な指標で、そこから「階級闘争」の情勢を読み取ることはできないのだ。小倉式に表現すれば、1990年から2002年までは労働者は「階級間闘争に勝利した」のだろうか。労働分配率を上げようと思ったら、不況にするのが手っ取り早い。たぶんこれからそうなるだろう。
こういう階級闘争史観は、「派遣村」の人々にも根強くある。たとえば湯浅誠氏は「労働分配率の低下」を問題にして、企業は配当や「内部留保」を賃金に回せと主張する。これは共産党が50年ぐらい言い続けている話だが、そんなことをしたら、ただでさえROEの低い日本企業には誰も投資しなくなり、日本経済は沈没するだろう。雇用を生み出しているのは、株主の投資なのだ。
2000年から2007年にかけて、増加労働者が受け取る配当(給与等)の総計は約6兆円減少したのに対し、この期間株主が受け取る配当の総計は約9兆円[増加]しています。すなわち、企業活動による生産量の増加分を労働者に配当せずに経営者と株主とで分け合ったのみならず、労働者への配当分を一部奪い取って経営者と株主とで分け合ってしまったのがこの7年ということになります。すなわち、「ワーキング・プア」は、世代間闘争に敗れたが故に貧しくなったのではなく、階級間闘争に敗れたが故に貧しくなったのです。う~ん、階級闘争ね。小倉さんは私より下の世代なんだけど、かなり特殊な教育を受けたのかな。「6兆円減少した」などといかにも大きいように表現しているが、雇用者報酬は7年間で271兆円が265兆円に3%減っただけで、景気変動の誤差の範囲内だ。それにMutterway氏も指摘するように、給与は「配当」ではない。給与は好不況にかかわらず支払われるが、配当は利益が上がれば増え、赤字になったらゼロになる。労働分配率はその逆に、利益が増えると下がり、業績不振のときは上がる。だから日本の労働分配率は図のように1990年から2002年までの不況期に10%上昇し、その後の景気回復で5%ほど下がった。

こういう階級闘争史観は、「派遣村」の人々にも根強くある。たとえば湯浅誠氏は「労働分配率の低下」を問題にして、企業は配当や「内部留保」を賃金に回せと主張する。これは共産党が50年ぐらい言い続けている話だが、そんなことをしたら、ただでさえROEの低い日本企業には誰も投資しなくなり、日本経済は沈没するだろう。雇用を生み出しているのは、株主の投資なのだ。


