政治家に「レク」(政策の説明)をするとき、よく「ペラ1枚」(A4の紙1ページ)でという。族議員ならペラ3枚ぐらいはいいが、閣僚級は1枚が原則で、「ポンチ絵」でわかるのがいい。中川秀直氏ぐらいの大物になると、細かい経済学の話なんて聞いている暇はないだろうから、当ブログでもポンチ絵つきで金融政策を解説してみよう。きのう紹介した中川氏のブログには、こう書かれている:
もっと根本的な問題は、現状では通貨供給を増やしても効果がないということだ。図のように政策金利は民間の資金需要と日銀の通貨供給が均衡する水準で決まるので、通貨供給を1から2へ増やせば、金利は下がる。しかし現在の0.1%というのは誘導目標なので、実質的にはゼロ金利で、これ以上は下がりようがない
金利というのはお金の値段だから、金利がゼロということは、通貨供給が需要を絶対的に超過していることを示す。つまり日本経済は、X*のような状態にあるわけだ。ここで3のように日銀が「通貨を拡張」しても、もはや供給が制約条件ではないので、民間に流通するマネーストックは変わらず、供給された通貨は「ブタ積み」になるだけだ。
制約条件は民間の資金需要(投資需要)なので、それを増やすには投資機会を増やす必要がある。これは日銀の仕事ではなく、中川氏のような政治家の仕事だ。つまり金利が下がりきった現状ではもう日銀の出番はなく、「思い切った改革加速」によって将来の見通しを明るくするしかないのである。
脚注:テクニカルにいうと、政策金利がゼロになっても長短金利差や官民の金利差を縮める政策はありうるが、日本ではほとんど意味がない。30日の記事のコメント参照。
FRBは大胆な金融緩和政策に踏み切った。日銀はどうか。日銀は「通貨拡張が景気回復への最短の道である」との考え方に賛成なのか、反対なのか。日銀の思い切った非伝統的手法、政府の思い切った改革加速、その組み合わせこそが09年の日本を明るくすると考える。ここで「非伝統的」というのは、政策金利の誘導以外の手段をいう。具体的には、量的緩和やリスク資産の購入だ(さすがにインフレ目標は中川氏もいわなくなった)。FRBが巨額の非伝統的な政策を発動していることは事実だが、それは2000年代初頭の日本と同様、金融システムの崩壊を防ぐのが主な目的で、日本はそういう状況にはない。バーナンキは「通貨拡張が景気回復への最短の道である」とも言っていないので、日銀に「賛成なのか、反対なのか」と問い詰めても答えようがないだろう。
もっと根本的な問題は、現状では通貨供給を増やしても効果がないということだ。図のように政策金利は民間の資金需要と日銀の通貨供給が均衡する水準で決まるので、通貨供給を1から2へ増やせば、金利は下がる。しかし現在の0.1%というのは誘導目標なので、実質的にはゼロ金利で、これ以上は下がりようがない
金利というのはお金の値段だから、金利がゼロということは、通貨供給が需要を絶対的に超過していることを示す。つまり日本経済は、X*のような状態にあるわけだ。ここで3のように日銀が「通貨を拡張」しても、もはや供給が制約条件ではないので、民間に流通するマネーストックは変わらず、供給された通貨は「ブタ積み」になるだけだ。
制約条件は民間の資金需要(投資需要)なので、それを増やすには投資機会を増やす必要がある。これは日銀の仕事ではなく、中川氏のような政治家の仕事だ。つまり金利が下がりきった現状ではもう日銀の出番はなく、「思い切った改革加速」によって将来の見通しを明るくするしかないのである。
脚注:テクニカルにいうと、政策金利がゼロになっても長短金利差や官民の金利差を縮める政策はありうるが、日本ではほとんど意味がない。30日の記事のコメント参照。