今のようなとき、政治家も財界もかさにかかって「果敢な金融緩和をしろ」と中央銀行に求めるインフレバイアスはどこの国にもみられるが、異常な金融政策は異常な結果をもたらす。中央銀行の独立性が定められているのは、こうした政治的圧力から守るためだ。
日本の1980年代のバブルも、1985年のプラザ合意以降の円高不況に異常な金融緩和でのぞんだことが原因だった。日銀が1989年に利上げしたとき、橋本蔵相は「利上げを撤回させる」と恫喝した。このためバブル崩壊後も、日銀はすぐ利下げしなかった。ふたたび上げるとき、政治家との争いになることを恐れたからだ。これが誤りだったことは今からみれば明らかだが、その原因をつくったのは政治家のインフレバイアスなのだ。
1997年のアジア経済危機と翌年のLTCM破綻のあと、FRBは大量の流動性を供給し、それを1年以上続けたことがITバブルに火をつけたといわれている。そしてITバブルが崩壊したあと、FRBが2005年まで金融緩和を続けたことが今回の住宅バブルの原因になったことをグリーンスパンも認めた。また2000年代に行われた日銀のゼロ金利・量的緩和と財務省の大規模なドル買い介入が、円キャリー取引を呼んでアメリカにバブルを輸出した。
金融政策はコストが低いので、「今のような不況期にいくら緩和しても大丈夫だ」と思いがちだ。たしかにアメリカの例でいえば、FRBがいくら利下げをしても、ドットコム・ブームは再来しなかった。しかし住宅という別の市場でバブルが起こっていたのだ。今のアメリカでは金融システムの崩壊によって流動性危機が生じているので、FRBの非伝統的政策も意味があるが、日本の不況は実体経済の「トヨタ危機」なので、これ以上流動性を供給しても改善しない。政治家が日銀を恫喝するのはよくあることだが、経済学者までそれに加わって騒ぐのは見るに耐えない。
このようにバブル崩壊後の金融緩和が次のバブルを呼ぶ事件は、最近20年の間に日米だけで4度も起こっている。だからバブルは、また必ずやってくる。どういう形で起こるかは事前には予想できないが、確かなのは、必要以上に大量の通貨を供給し続けると、必ずどこかにはけ口ができて(物価もしくは資産の)インフレが起こるということだ。それは多くの場合、ターゲットにしている市場でデフレが是正されるのではなく、別の市場や別の国で起こる。中央銀行にも、フリーランチはないのである。
日本の1980年代のバブルも、1985年のプラザ合意以降の円高不況に異常な金融緩和でのぞんだことが原因だった。日銀が1989年に利上げしたとき、橋本蔵相は「利上げを撤回させる」と恫喝した。このためバブル崩壊後も、日銀はすぐ利下げしなかった。ふたたび上げるとき、政治家との争いになることを恐れたからだ。これが誤りだったことは今からみれば明らかだが、その原因をつくったのは政治家のインフレバイアスなのだ。
1997年のアジア経済危機と翌年のLTCM破綻のあと、FRBは大量の流動性を供給し、それを1年以上続けたことがITバブルに火をつけたといわれている。そしてITバブルが崩壊したあと、FRBが2005年まで金融緩和を続けたことが今回の住宅バブルの原因になったことをグリーンスパンも認めた。また2000年代に行われた日銀のゼロ金利・量的緩和と財務省の大規模なドル買い介入が、円キャリー取引を呼んでアメリカにバブルを輸出した。
金融政策はコストが低いので、「今のような不況期にいくら緩和しても大丈夫だ」と思いがちだ。たしかにアメリカの例でいえば、FRBがいくら利下げをしても、ドットコム・ブームは再来しなかった。しかし住宅という別の市場でバブルが起こっていたのだ。今のアメリカでは金融システムの崩壊によって流動性危機が生じているので、FRBの非伝統的政策も意味があるが、日本の不況は実体経済の「トヨタ危機」なので、これ以上流動性を供給しても改善しない。政治家が日銀を恫喝するのはよくあることだが、経済学者までそれに加わって騒ぐのは見るに耐えない。
このようにバブル崩壊後の金融緩和が次のバブルを呼ぶ事件は、最近20年の間に日米だけで4度も起こっている。だからバブルは、また必ずやってくる。どういう形で起こるかは事前には予想できないが、確かなのは、必要以上に大量の通貨を供給し続けると、必ずどこかにはけ口ができて(物価もしくは資産の)インフレが起こるということだ。それは多くの場合、ターゲットにしている市場でデフレが是正されるのではなく、別の市場や別の国で起こる。中央銀行にも、フリーランチはないのである。


