あるウェブマガジンに依頼された原稿を送ったら、「申告書」がEメールに添付されて、「銀行口座を書いて署名・捺印して郵送せよ。それまで原稿は掲載しない」という。「私が頼んで原稿を書いたんじゃない。こんな失礼なサイトに原稿を掲載するのは、こっちがお断り」と返事したら、担当者があわてて「経理規定を見直します」とフォローしてきた。これが日本の電子メディアの実情だ。

こういう会社にありがちなのが、元号だ。官庁のサイトのExcelデータも元号なので、手作業でひとつひとつ西暦に直さないと使い物にならない。元号法は「元号は政令で定める」と規定しているだけで、元号の使用を義務づけてはいないので、官庁のデータはせめて西暦を併記すべきだ。NHKも、海外ニュースは西暦で国内ニュースが元号という混乱した書式をやめるべきだ。

また私の見ている画面のほとんどはPCのモニターなので、縦書きは読みにくく、文書をファイルするときも混乱する。日本だけが右縦書きという世界に例をみない方式を続けているのは、新聞が最大の原因だろう。『週刊ダイヤモンド』や『月刊アスキー』などは一時は横書きだったが、縦書きに戻してしまった。横書きが読みにくいとか「学術書くさい」というのはオヤジの思い込みで、ケータイがメインになっている若者にとってもメディアのほとんどは横書きだ。

世界的にも、公文書で独自の年号しか使わないのは北朝鮮の「主体暦」だけで、左横書き以外の書式を使っているのは、アラビア語とモンゴル語しかない。本家の中国には、ハンコはまだあるが、元号も縦書きもない。いまだに政府のデータやマスメディアがこういう混乱した形式になっているのは、日本がガラパゴスを通り越して「北朝鮮化」する状況を象徴している。