Greg Mankiw's blogより:

教科書的なケインズ理論では、減税より公共投資のほうが「乗数効果」は大きいと教えるが、最近の実証研究では、戦後の公共投資の乗数は1から1.4程度なのに対して、減税の乗数効果は3という結果が出ている。これは通常のケインズ理論では説明できない。波及経路として考えられるのは、たとえば投資減税によって投資需要が喚起され、これによって相対価格が変化して需要がのびるという効果だ。これまでのマクロ経済学では、短期的には価格は一定と仮定していたが、実際には短期でも価格は動く。財政政策の効果を考えるには、こうした非ケインズ的な調整メカニズムを勘案する必要がある。
My advice to Team Obama: Do not be intellectually bound by the textbook Keynesian model. Be prepared to recognize that the world is vastly more complicated than the one we describe in ec 10. In particular, empirical studies that do not impose the restrictions of Keynesian theory suggest that you might get more bang for the buck with tax cuts than spending hikes.
私のコメント:これはケインズ的な「短期」の効果ではなく、投資需要によって自然利子率が上がるヴィクセル的な効果と考えたほうがいいのではないか。日米ともにデフレ対策の究極の問題は、負の自然利子率を避けることなので、財政政策によってそれを引き上げることができれば意味がある。いずれにせよ、「定額給付金」みたいなバラマキ減税が何の効果もないことは間違いない。同じ2兆円を使うなら、投資減税にしたほうがいいのではないか。