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例によって迷走していたタバコ増税が、見送りの方向になったようだ。いろんな理由がついているが、要するに財務省の最大の利権・天下りポストである日本たばこ産業を守ろうということだろう。予算を預かる会計係が先輩(会長は元主計局長の涌井洋治氏)に便宜供与するなんて、民間企業ではほとんど背任だが、霞ヶ関ではその程度の節度も守られないらしい。世も末である。

日本のタバコは安い。図のように、日本より安いのは中国やロシアなど民度の低い国だけだ。イギリスの研究機関Beckley Foundationは「大麻による健康被害はアルコールやタバコよりも低い」とする報告書を発表した。アルコールとタバコが原因で死亡した人の数をあわせると、イギリスだけで15万人にのぼるが、大麻による死者は世界中でたった2人だ。

大麻が無害だとはいわない。しかし大麻の所持で逮捕するなら、その何万倍も有害なタバコの自販機はすべて撤去し、広告も禁止するのが当然だ。数兆円といわれるタバコの社会的コストを考えれば、1箱1000円でも安い。この程度の指導力も発揮できないようでは、麻生首相も年内はもたないのではないか。