一昨日の記事に、楠君からTBがついたが、彼の記事にはあまり反応がないようだ。電波の世界は技術的でわかりにくい上に、メディアが都合の悪いことは報道しないので、実態がほとんど知られていないが、このホワイトスペースの問題はNGNより重要だ。
彼もいうように、802.11aのOFDM技術は、NTTが開発したものだ。しかもNTTの技術者がIEEE802.11aワーキンググループ(WG)のエディタになっていたのに、NTTはOFDMを電話交換機みたいなHiSWANというシステムに実装し、結局ものにならなかった。Atherosは802.11aを802.11bのチップに入れて、市場を独占した。
また以前の記事でも書いたように、NTTはTCP/IPより先にパケット交換を実装していたのに、その開発を打ち切った。自社で開発した「データ通信」をファミリー企業につくらせて「日の丸VAN」を構築する計画を立てたが、データ通信は赤字続きで、最後はインターネットに粉砕されてしまった。
NHKも1980年ごろにはハイビジョン(MUSE)を完成していたのに、それをCCIRで世界標準にしようと時間を空費しているうちに、欧米の電機メーカーが「ハイビジョンを認めたら日本のメーカーが世界を征服する」と騒ぎ始め、ハイビジョンをつぶしてしまった。いま「デジタルハイビジョン」と呼んでいるのは、MPEG-2というまったく別の技術である。
しかもMPEGをISOで開発したチームの中心は、NTTの安田浩氏だった。それなのにNHKは「あれは通信の規格だ」と相手にしないで、国内で実用化の見通しもない「ハイビジョン実験放送」を続けた。しかし1994年に郵政省がMPEG-2に方向転換してハシゴをはずされ、20年かけて開発・実験したMUSEの1000億円以上のコスト(そのうち数百億円は国費)は無に帰した。
こういう例は、枚挙にいとまがない。同じ失敗が繰り返される原因は、わかりやすくいうと、日本人が喧嘩がへただということだ。私もITUの会議に何度か出たことがあるが、各国の代表が自国に都合のいい規格を猛烈に売り込むのに、日本の代表(総務省)はうつむいて原稿を読むだけ。私が「さっきの話は日本の公式見解で、私の話は非公式見解だが・・・」とそれを批判すると、会場は爆笑だった。
喧嘩のへたな最大の理由は、英語ができないことだ。プレゼンテーションは原稿を読めば何とかなるが、質疑応答で喧嘩ができない(というか質問も出ない)。おまけに日本の官庁でも企業でも国際派は傍流なので、その場で意思決定ができない。「その話は本社に持ち帰って・・・」とかなんとか言っているうちに、欧米諸国だけで標準を決めてしまう。
これはインターネット系の組織でも同じだ。私はW3CのWGに入っていたことがあるが、これは誰でも参加できる代わり、毎週、夜中の2時から電話会議があり、それに2回続けて欠席したら除名される。しかも電話会議だから、半分も聞き取れない。会議の大部分はマイクロソフトが実装したソフトウェアの説明で、他社はそれにコメントするだけ。だからW3C規格のほとんどは、実質的にはMS規格だ。IETFも、最近はほとんどシスコ規格らしい。
これに対して「日本発の国際標準を」などと行政が旗を振るのは、見当違いもはなはだしい。国際会議で「これは日本のつくった規格です」などと売り込んだら、PDCやISDB-Tのように、ITUでは形式的に認められても世界市場では無視される。MPEGのように、実質はNTTが開発しても「各国が協力したオープン・スタンダードです」と売り込めば、世界市場に広がるのだ。
今月末からNGNの商用サービスが始まるが、「NTTが世界標準を取りに行け」などとあおるのは逆効果である。それよりもグーグルのAndroidのように、NTTの開発したNGNアプリケーションやインターフェイスをすべてオープンソースで世界に公開してはどうだろうか。
追記:このごろ過去の記事の「リンクが切れている」という問い合わせがくるので、固定リンクのない新聞社サイトにはリンクを張らないことにした。各社が申し合わせて過去の記事を削除するのは、カルテルではないか。
彼もいうように、802.11aのOFDM技術は、NTTが開発したものだ。しかもNTTの技術者がIEEE802.11aワーキンググループ(WG)のエディタになっていたのに、NTTはOFDMを電話交換機みたいなHiSWANというシステムに実装し、結局ものにならなかった。Atherosは802.11aを802.11bのチップに入れて、市場を独占した。
また以前の記事でも書いたように、NTTはTCP/IPより先にパケット交換を実装していたのに、その開発を打ち切った。自社で開発した「データ通信」をファミリー企業につくらせて「日の丸VAN」を構築する計画を立てたが、データ通信は赤字続きで、最後はインターネットに粉砕されてしまった。
NHKも1980年ごろにはハイビジョン(MUSE)を完成していたのに、それをCCIRで世界標準にしようと時間を空費しているうちに、欧米の電機メーカーが「ハイビジョンを認めたら日本のメーカーが世界を征服する」と騒ぎ始め、ハイビジョンをつぶしてしまった。いま「デジタルハイビジョン」と呼んでいるのは、MPEG-2というまったく別の技術である。
しかもMPEGをISOで開発したチームの中心は、NTTの安田浩氏だった。それなのにNHKは「あれは通信の規格だ」と相手にしないで、国内で実用化の見通しもない「ハイビジョン実験放送」を続けた。しかし1994年に郵政省がMPEG-2に方向転換してハシゴをはずされ、20年かけて開発・実験したMUSEの1000億円以上のコスト(そのうち数百億円は国費)は無に帰した。
こういう例は、枚挙にいとまがない。同じ失敗が繰り返される原因は、わかりやすくいうと、日本人が喧嘩がへただということだ。私もITUの会議に何度か出たことがあるが、各国の代表が自国に都合のいい規格を猛烈に売り込むのに、日本の代表(総務省)はうつむいて原稿を読むだけ。私が「さっきの話は日本の公式見解で、私の話は非公式見解だが・・・」とそれを批判すると、会場は爆笑だった。
喧嘩のへたな最大の理由は、英語ができないことだ。プレゼンテーションは原稿を読めば何とかなるが、質疑応答で喧嘩ができない(というか質問も出ない)。おまけに日本の官庁でも企業でも国際派は傍流なので、その場で意思決定ができない。「その話は本社に持ち帰って・・・」とかなんとか言っているうちに、欧米諸国だけで標準を決めてしまう。
これはインターネット系の組織でも同じだ。私はW3CのWGに入っていたことがあるが、これは誰でも参加できる代わり、毎週、夜中の2時から電話会議があり、それに2回続けて欠席したら除名される。しかも電話会議だから、半分も聞き取れない。会議の大部分はマイクロソフトが実装したソフトウェアの説明で、他社はそれにコメントするだけ。だからW3C規格のほとんどは、実質的にはMS規格だ。IETFも、最近はほとんどシスコ規格らしい。
これに対して「日本発の国際標準を」などと行政が旗を振るのは、見当違いもはなはだしい。国際会議で「これは日本のつくった規格です」などと売り込んだら、PDCやISDB-Tのように、ITUでは形式的に認められても世界市場では無視される。MPEGのように、実質はNTTが開発しても「各国が協力したオープン・スタンダードです」と売り込めば、世界市場に広がるのだ。
今月末からNGNの商用サービスが始まるが、「NTTが世界標準を取りに行け」などとあおるのは逆効果である。それよりもグーグルのAndroidのように、NTTの開発したNGNアプリケーションやインターフェイスをすべてオープンソースで世界に公開してはどうだろうか。
追記:このごろ過去の記事の「リンクが切れている」という問い合わせがくるので、固定リンクのない新聞社サイトにはリンクを張らないことにした。各社が申し合わせて過去の記事を削除するのは、カルテルではないか。


