b3c19db2.jpg表紙の半分以上を占める帯で、梅田望夫氏と私が何やらいっている――といっても論争しているわけではない。著者、海部美知さんはITライター小池良次氏の奥さんで、私はその縁で知り合った。また彼女はシリコンバレーに住んで、梅田氏と一緒にコンサルタントをやっている。そういうわけで、帯に梅田氏と私が並んでいるのだ。

写真ではせりふが読みにくいが、梅田氏は「彼女の結論は、『未来の日本』への希望の表明である」といい、私は「ここには、『イノベーションとは何か』というメッセージがある」といっている。彼と私の意見は、「今の日本」のままではだめだ、という点では一致している。

「パラダイス鎖国」をグーグルで検索すると、21万件も出てくる。トップが私のブログなので、私の造語だと思っている人も多いようだが、これは著者が最初にブログで使った言葉だ。しかし彼女によると「池田さんが育ての親だと思っています」とのこと。

内容は、当ブログの読者には改めて説明する必要もないだろう。この言葉は、もとは携帯電話についての話で出てきたものだが、同様の「日の丸技術」の失敗は、日本のIT産業に広くみられる。もっと恐いのは、日本がもはやパラダイスでさえなくなりつつあることだ。三菱電機やパイオニアの撤退にみられるように、国内市場の飽和と中国などの追い上げで、いつまでも鎖国は続けられない。

ではどうすればいいのか、という具体策は本書には乏しい。それはやはり、本書がテーマにしていない政治の仕事だろう。外資をハゲタカよばわりし、買収防衛策などの「尊皇攘夷」ばかり考えている官僚や経営者を追放することが、「開国」の第一歩ではないか。