きょう世界第3位の検索エンジン、Baidu(百度)の日本語サイトの運用が始まり、それに合わせて中国本社のCEO、Robin Li氏が来日した。そのミーティングにまねかれたので行ってみたら、記者会見ではなく、佐々木俊尚氏やDan氏など、おなじみのブロガーばかり10人ほど。ブログから1次情報の出る日が来たのかもしれない。

気の毒な大手メディアのために、とりあえず第一報を提供しておくと、Li氏は39歳。NY州立大学で修士号をとった、絵に描いたようにハンサムな中国の新世代エリートだ。Baiduの中国内シェアは70%、世界市場シェアは5%で、Google、Yahoo!に次ぐ。日本での戦略は、Yahoo!などに対抗するのではなく、「セカンド・サーチエンジン」をねらうという。特徴は「遊ぶ」検索サービスで、動画検索や画像検索に力を入れる。漢字文化圏どうしの強みを生かして、検索精度も上げる。

ただし「キラー・アプリ」のMP3検索は、日本語版にはない。質問も当然そこに集中したが、「日本では日本の著作権法に従う」とのこと。「日本では検索エンジンそのものが違法なんですけど。Yahoo!Japanもgooもサーバをアメリカに置いてるけど、著作権法は属地主義だから、事業所が日本にあると違法ですよ」と私がまぜかえすと、答に困っていた。「日本でうまく行く知恵はないか」というので、私が提案した思いつきは2つ:
  • 日本語版でMP3検索サービスを始める:プロバイダ責任制限法で、著作権法違反を指摘されたら削除しなければならないが、ファイルを検索可能にすること自体は合法である(*)MP3.comも、初期にはDMCAで合法だった。こういうサービスを始めれば、世界中のメディアが注目し、Napsterのように何も広告を出さなくても3000万ユーザーぐらい行くだろう。

  • サーバだけでなく、日本向けサービス部門も中国に置いて日本語でMP3検索サービスを始める:これは、今のところ中国では合法だ。最高人民法院まで行ってどうなるかは、中国共産党の意向しだいだが、彼らがこれを合法化すれば、Baiduは愚かな著作権法のもとで営業せざるをえない欧米の検索エンジンに比べて、圧倒的な優位をもつ。権利者は許諾権を放棄する代わり、収益をシェアすればいいのだ(Baiduは現に中国でやっている)。
中国共産党のウォッチャーも当ブログを読んでいると思われるので、ぜひBaiduのMP3検索を合法化してほしい。中国が世界の8割を供給しているともいわれる海賊DVDの映像なども検索可能になれば、Googleを抜いて世界のナンバーワンになることも不可能ではない。ここに「蟻の一穴」があけば、そこから19世紀以来のアンシャン・レジームであるベルヌ条約が崩壊し、ウェブで「共産主義」を実現することも可能だ。しかもコストはゼロである。毛沢東にもできなかった世界革命をBaiduがサイバースペースで実現すれば、21世紀は文字どおり中国の世紀になるだろう。

(*)もちろん著作権法を厳密に適用すると、検索エンジン自体が違法だが、いくら愚かな日本の警察でも検挙できないだろう。日本の会社はおとがめなしでBaiduだけやったら、国際問題になる。