ピーター・ガブリエルが、We7という音楽サイトを運営している。最初は無名アーチストばかりだったが、最近はピンク・フロイドの「炎」やジャニス・ジョプリンの「パール」など(ちょっと古いが)有名なアルバムや、マドンナの初期のアルバムなどもダウンロードできる(ただし無料版はCMつき)。彼はBBCのインタビューにこう答えている。
There's still room for record companies but they should reinvent themselves as a service industry and not as owners.
昨年の日本のCDの売り上げは10%下がったが、オンライン配信は40%以上のびた。世界的にみると、CDなどのパッケージの売り上げは各国とも下がっているが、興行ビジネスがそれを補うぐらい伸びている。最大手のライブ・ネイションは、ローリングストーンズ、U2、ポリスなどのツアーを手がけるばかりでなく、マドンナのCDも出す。そのうちオンライン配信もこうしたプロモーターが垂直統合し、MP3ファイルは宣伝ツールとして無料で配布されるようになるかもしれない。

衰退しているのは、岸氏や椎名氏がぶら下がっているパッケージメディアにすぎない。iPodの大ヒットに見られるように、音楽愛好者は増え続けているのだから、それをビジネスに結びつける手段はまだいくらでもある。イノベーションは、既存の権利者を規制で守ることからは絶対に生まれない。それは規制を撤廃し、こうした新しいビジネスの可能性を開放することから生まれるのだ。