スティグリッツによれば、現在の「新型スタグフレーション」に対応するには、各国で採用されているインフレ目標をやめるべきだという。(via Greg Mankiw's Blog

いま世界的に起こっているインフレはマネタリーな現象ではなく、天然資源の価格上昇というリアルな要因が各国に「輸出」されたグローバルな現象であり、一国の金融政策ではコントロールできない。中国のインフレは8%、ベトナムは18%を超えている。これを金利の引き上げで2%程度に抑制することは不可能であり、暴力的な金融引き締めを行なえば、不況がさらに深刻化するだけだ。

グリーンスパン時代にアメリカ経済が安定していたのは、彼の巧みな金融政策のおかげではなく、中国などからの輸入デフレによって物価が安定していたからだ。いま起こっているのは逆に、資源コストの上昇による輸入インフレなので、金利を上げても止まらない。必要なのは、先進国も途上国もインフレ目標を廃止し、物価よりも実体経済の安定を目標にした経済運営を行なうことだ。

まず、ばかげたバイオ燃料への補助金をやめ、先進国の農産物輸出補助金を廃止し、その資金を途上国への食糧援助にあてるべきだ。現在の世界的なインフレを抑制するために必要なのは、金融政策ではなく実体経済での国際協調である。