ARINが、IPv4アドレスを売買できるように制度を改める方針を検討しているという。IANAの首脳も「アドレスの市場」の創設に積極的だ。市場化はいずれにせよ避けられないので、放置しておくとブラックマーケットができるだけだ。
当ブログで何度も指摘してきたとおり、「アドレスの枯渇」などという問題は、現在の社会主義的な割り当て制度の生み出した幻想である。Wikipediaをみただけでわかるが、市場で取引するのに適していない公共財とは
この改革によって「IPv6の普及が遅れる」などという心配は、本末転倒だ。どっちみちv6は、v4の代わりにはならない。世界のサイトの99.9999%以上から見えないアドレスが、グローバルアドレスになることはありえないからだ。ただ携帯端末やNTT版NGNやIP電話などの閉域網の中のアドレスとしては使い道はあるし、中国政府は検閲に便利なので喜ぶだろう。
v4アドレスの再配分を行なう場合、むずかしいのは所有権の初期設定だ。現在のアドレスは契約もなしに適当にばらまいたので、所有権の所在もはっきりしないが、それを大量にガメているアメリカの大学などから没収したり、遊休アドレスに「課税」したりすることは政治的に不可能だろう。コモンローだけで動いているNICには、司法権力がないからだ。したがって、こうした既得権はそのまま所有権として認めるしかない。
これには(アドレスを大量に買う側になる)途上国から「不公平だ」と強い反対が予想されるが、このようなbribeによって資源の効率的な配分が実現し、「枯渇」が解消するなら、所有権と市場による紛争解決のメリットはそのコストよりはるかに大きい――というのが「コースの定理」の教えるところである。
次にむずかしいのは、配分メカニズムの設計だ。温暖化ガス排出権のように取引コストが非常に大きいと、市場が機能しないおそれが強いが、アドレスの取引コストはきわめて小さい。ドメイン名では、すでに多くのオークションサイトができているので、それに準じてやればいい。ただ、あまりバラバラに配分するとアドレスが断片化してルーティングの効率が低下するので、各NICが規制したほうがいいだろう。
一番むずかしいのは、「市場主義」に反対する感情論をどうやって説得するかだ。こんな簡単な問題が、ここまで追い詰められないと理解されなかったように、経済学のわからない人は経産省や自民党以外にも多いようだから、以前からインターネットに市場メカニズムを導入するよう提言しているHal Varian(グーグルのチーフエコノミスト)をICANNにまねいて、講義してもらってはどうだろうか。
当ブログで何度も指摘してきたとおり、「アドレスの枯渇」などという問題は、現在の社会主義的な割り当て制度の生み出した幻想である。Wikipediaをみただけでわかるが、市場で取引するのに適していない公共財とは
- 非競合性:ある人が資源を利用しても他の人と競合しない
- 排除不可能性:他人の利用を排除できない
この改革によって「IPv6の普及が遅れる」などという心配は、本末転倒だ。どっちみちv6は、v4の代わりにはならない。世界のサイトの99.9999%以上から見えないアドレスが、グローバルアドレスになることはありえないからだ。ただ携帯端末やNTT版NGNやIP電話などの閉域網の中のアドレスとしては使い道はあるし、中国政府は検閲に便利なので喜ぶだろう。
v4アドレスの再配分を行なう場合、むずかしいのは所有権の初期設定だ。現在のアドレスは契約もなしに適当にばらまいたので、所有権の所在もはっきりしないが、それを大量にガメているアメリカの大学などから没収したり、遊休アドレスに「課税」したりすることは政治的に不可能だろう。コモンローだけで動いているNICには、司法権力がないからだ。したがって、こうした既得権はそのまま所有権として認めるしかない。
これには(アドレスを大量に買う側になる)途上国から「不公平だ」と強い反対が予想されるが、このようなbribeによって資源の効率的な配分が実現し、「枯渇」が解消するなら、所有権と市場による紛争解決のメリットはそのコストよりはるかに大きい――というのが「コースの定理」の教えるところである。
次にむずかしいのは、配分メカニズムの設計だ。温暖化ガス排出権のように取引コストが非常に大きいと、市場が機能しないおそれが強いが、アドレスの取引コストはきわめて小さい。ドメイン名では、すでに多くのオークションサイトができているので、それに準じてやればいい。ただ、あまりバラバラに配分するとアドレスが断片化してルーティングの効率が低下するので、各NICが規制したほうがいいだろう。
一番むずかしいのは、「市場主義」に反対する感情論をどうやって説得するかだ。こんな簡単な問題が、ここまで追い詰められないと理解されなかったように、経済学のわからない人は経産省や自民党以外にも多いようだから、以前からインターネットに市場メカニズムを導入するよう提言しているHal Varian(グーグルのチーフエコノミスト)をICANNにまねいて、講義してもらってはどうだろうか。