日経コミュニケーション編集部による、NTTレポートの最新版。前回の本でも少し出ていたNGN批判が、今回は主要なテーマになり、ほとんど全面否定に近い。私も週刊エコノミストに書いたように、ほぼ同じ意見だ。というか、肯定的な人をさがすほうがむずかしい。

NTTの経営陣も、さすがに情勢の変化に気づいて、Bフレッツとまったく別のNGNをつくるのではなく、フレッツ網を拡張する方向で検討し始めたようだ。しかし最大の問題は、NGNのコンセプトがはっきりしないことだ。これには大別して、次の4つの要素技術が含まれている:
  • IP
  • IMS
  • IPv6
  • FTTH
このうち、世界共通にNGNとして認められているのは、IPだけだ。これはBTの「21世紀ネットワーク」を初め、欧州のキャリアが先行して進めており、NTTもPSTNを廃棄する目標を明示し、all-IPへの移行をむしろ速めるべきだ。これは大幅な経費の節減(したがって料金低下)になり、株主にもユーザーにも説明しやすい。

しかしIMSは、もともとPSTNの課金システムをIP上で再構築するための閉域網で、IETFなどから「エンドユーザーがオープンにつながるE2Eの思想に反する」という批判が強い。FMCを実現するというセールスポイントも、Skypeのような無料電話がある今日では、魅力に乏しい。本書も指摘するように、NTTグループ内でも、肝心のドコモがFMCに積極的ではない。

IPv6については、RFCとして採択されてから10年たっても、サポートするサイトは世界の1/50000。IPv4に代わるグローバルアドレスになることはありえない。v4はNATを使い、市場メカニズムを活用すれば永遠に延命できる。本書も指摘するように、フレッツ網で必要のないv6を使っていることがネットワークを複雑にし、IP電話のダウンの原因となった。v6はオプションにすべきだ。

FTTHはNGNとは無関係の技術であり、デモで光ファイバーばかり前面に出るのはNGNのコンセプトを混乱させている。「2010年までに3000万世帯」という目標は「2000万世帯」にトーンダウンしたが、残りの4000万世帯はどうするのだろうか。両者が併存するかぎり、保守費用などは大して変わらないので、急ぐ必要はない。BTなど欧州のキャリアもIP化は進めているが、これはDSLベースだ。NTTも、光にこだわらないでall-IP化に経営資源を集中したほうが得策ではないか。