一昨日の記事には、予想以上にたくさんのコメントがついたが、驚いたのはhamachanなる人物が「半分だけ正しい知識でものを言うと・・・」という記事で、私を「半可通」などと罵倒してきたことだ。このhamachanとは、濱口桂一郎。「天下り大学」として有名なGRIPSに厚労省から天下った人物らしい。

彼は、私が「労組は『正社員』による独占を守る組織なのだ」と書いたのに対して「ありえない」と批判しているのだが、その直後に「日本の企業別組合というのは[・・・]まさに『正社員による独占を守る組織』なのである」と自分で書いている。一つの記事の中で矛盾したことを書くのは、先日の山形某と同じく頭がおかしいと思われてもしょうがないが、問題はそのことではない。

hamachanは「組合へのメンバーシップがキモなのであって、企業へのメンバーシップとはまるで方向が正反対」というように、企業と労組は「正反対」で「対立」するものだと繰り返している(それが私への批判の論拠になっている)。つまり彼の(そしておそらく厚労省の)目には、いまだに「資本家vs労働者」というマルクス的な図式しか見えず、赤木氏のようなフリーターは目にも入っていないのだ。私の記事の主題が「本質的な問題は正社員とフリーターの対立だ」ということなのに、彼はそれには言及もしない。

福島氏や若松氏などの左翼が赤木氏の問題提起を理解できないばかりでなく、厚労省もそれを理解できないらしい。企業も組合も官庁も左翼も、すべてフリーターの敵というわけだ。「格差社会」がどうとか口では言いながら、出てくる政策は農家への所得補償とか児童手当などのバラマキばかりで、フリーターやニートには「自己責任だ」「怠けてるんじゃないか」というコメントが(当ブログでも)投げつけられる。しかしフリーターがここ10年で倍増して400万人を超え、某国立大学では就職先の第1位が人材派遣会社になるという状況を「自己責任」ですましていいのか。

福田内閣は「構造改革の負の側面」に留意するというが、フリーター問題は、むしろ構造改革が中途半端に終わり、終身雇用などの「日本型福祉システム」に手がつけられなかったために起こった問題だ。それを解決するには、労働者を会社に囲い込んで守るのをやめ、企業年金をポータブルにし、退職一時金を廃止するなど、正社員とフリーターの労働条件を「フラット」にすると同時に、中途採用の差別を禁止するなど労働市場の流動性を高め、負の所得税やEITCのような社会的セーフティネットで守るように変えるしかない。

こういう「市場主義」的な労働政策には、いつも労組が反対するが、彼らは自分たちの既得権が奪われるのを恐れているだけだ。他の生産要素市場や資本市場が流動化し、グローバル化する中で、労働市場だけギルドシステムを残すのは無理だ。そういう無理の犠牲になっているのが、フリーターやニートなのだ。そして日本のあらゆるコミュニティから弾き出された彼らが社会への敵意を吐露する場が、おそらく匿名掲示板のようなサイトなのだろう。まず彼らの存在を正視し、赤木氏のような声に耳を傾けることが問題解決の第一歩である。

追記:天下り教授の言い訳は、まだ続いている。明白に矛盾した自分の記事を「日本の労組はギルド的労組と正反対なのだ」という話にすりかえようとしているが、一昨日の記事で私はクローズド・ショップ(ギルド的労組)が「原型」だと書いて、日本の労組と区別している。彼は日本語が読めないようだから解説しておくと、私のいう「ギルド的性格」というのは、「組合員の特権を守ることが最優先される」ということだ。この点では、日本の労組もギルド的な性格を継承している。