中越沖地震で衝撃的だったのは、柏崎原発で50件もの故障・破損が起きたことだ。しかも設計で想定されていたM6.5を超えるM6.8がほぼ直下で起きたとされている。テレビでは変圧器の火災が注目されていたが、危ないのは配管類だ。さらに恐いのは、制御系に問題が起きて原子炉が制御不能になることである。

今回は、さいわい地震と同時に運転が停止されたが、関係者がもっとも心配するのは浜岡原発だろう。なにしろ、こっちはM8以上の大地震が30年以内に80%以上の確率で起こるとされる東海地震の震源の真上に建っているのだから。現地のブログによれば、柏崎で観測された680ガルという加速度は、浜岡の設計値も上回るという。

本当かどうか知らないが、2年前には浜岡2号機の設計を担当した東芝の子会社の技術者から、東海地震が起きると「浜岡原発は制御不能になる」というという内部告発が行なわれた。彼によれば、
  1. 浜岡2号炉の耐震計算結果は地震に耐えられなかった
  2. 直下型地震が起こると核燃料の制御ができなくなる可能性がある
とのことだ。当初の耐震計算では、2号機は想定される地震に耐えられないので、彼は設計の変更を提案したが、地理的な制約などで不可能だという理由で当初の設計どおり建設することが決まり、彼は退社したという。

これに対して、中部電力は「安全性に問題はない」と反論したが、告発者が匿名であるため、これ以上くわしい議論は行なわれなかったようだ。炉心溶融が起こって首都圏のほうに風が吹いた場合は、数万人の死者が出るとも予想されている浜岡原発が「姉歯状態」だとすれば大変なことだが・・・