イノベーションと起業家精神が成長率を決めるという視点から資本主義を

 1. 起業家型(アメリカ)
 2. 大企業型(欧州・日本)
 3. 政府主導型(中国・韓国・東南アジア)
 4. 寡頭型(ロシア・中南米)

の4類型にまとめたもの。容易に想像されるように、この順に望ましいという話なのだが、1だけでは大量生産型の産業には対応できないので、1と2の組み合わせがベストである――という結論だ。しかし日本が2に分類されているのは疑問だ(日本の平均的な企業規模はアメリカより小さい)し、3と4の違いもはっきりしない。

一般向けの本なので、理論的な先行研究にはほとんどふれていない。内生的成長理論に3ページほど言及しただけで、契約理論も制度分析も法起源論も出てこない。特に、なぜ起業家精神が成長率を引き上げるのか、という肝心の問題に答えないで、統計データや政策提言を並べるだけなので、はぐらかされたような印象を受ける。

ただ、いろいろな見方や多くのデータをバランスをとって紹介しているので、「イノベーション」を看板とする安倍政権の教科書としては便利だろう。特に「知財立国」で成長率が高まると信じ込んでいる官僚や法律家には読んでほしいものだ。本書のデータでは、知的財産権の強さは生産性とも成長率とも相関はなく、アメリカの異常に広範囲で曖昧な特許制度がむしろイノベーションを阻害している、と指摘されている。