大学教育は人的投資か学歴投資か

Becker-Posner Blogで、珍しく両者の意見がわかれている。

ベッカーは、大学教育の収益率は70年代の40％から現在は80％に上がったと主張する。この最大の原因は、ITの発達によって高等教育への需要が高まったからだ。高等教育はITと補完的だが、未熟練労働者はITと代替的なので、ITが増えると前者への需要は増え、後者への需要は減る。まぁこれは人的資本理論の教祖としては当然だろう。

これに対してポズナーは、シグナリング理論をとる。高等教育を受けた人の所得が高いのは相関関係であって、因果関係を必ずしも意味しない。大学が人的資本を何も高めなくても、学歴は能力のシグナルになるので、所得の高い仕事につきやすくなる。したがって大学に行くことは私的投資としては収益率が高いが、公共政策としてはこれ以上、大学進学率を高める必要はない。

私は、ポズナーの意見に近い。特に日本では、大学はシグナリング（スクリーニング）機能に特化しているので、教育内容は形骸化しており、大部分は時間の無駄だ。まして大学院教育の内容は非常に特殊であり、実社会で役立つことはほとんどない。それは「勉強が好きだ」というシグナルにはなるが、「使いにくい専門バカ」というシグナルにもなるので、便利屋を好む日本の企業には歓迎されない。

文科省の大学院拡大政策は、学生を余分に社会から隔離し、中途半端なプライドを持たせるだけだろう。それよりも大事なのは、語学や会計などの実務的なスキルを多くの人々に学ばせ、知識の裾野を広げることだ。このためには大学の設置基準を緩和して、専門学校を大学に昇格させたほうがよい。

Comments

[1. Unknown]

>語学や会計などの実務的なスキルを多くの人々に学ばせ、知識の裾野を広げることだ。このためには大学の設置基準を緩和して、専門学校を大学に昇格させたほうがよい。
このあたりがよく分かりませんでした。
専門学校が大学に昇格すると、具体的にはどんなメリットが大学側、生徒側に発生するのでしょうか。

[2. Inoue]

専門学校は大学よりさらにレベルが低い
　おっしゃることに概ね賛成です（大学教育はシグナリングでしかないという説）が、結論だけは受け入れがたい。
＞このためには大学の設置基準を緩和して、専門学校を大学に昇格させたほうがよい。
　専門学校が実業に役立つスキルをきちんと教育していて、卒業生を採用した企業側からも好評であるのに、大学設置基準のためにそれが大学に昇格できていないという事例がありますか？
　専門学校がまともな教育をしているという話は聞いたことがない。司法試験予備校とか公認会計士の専門学校は別ですが。
　大半の専門学校は、大学に「すら」入れない人の就職までのモラトリアムの場です。
　語学学校だって、会話系のNOVAとかは、何年通っても一向に上達しない人のおかげで食っているようなものです。

[3. DEK]

僕は院生なのですが，池田先生の意見に賛成です．海外の大学のことは知らないのですが，自分の体験では学部で行われている授業も，基礎的入り論を除外して考えても実用しづらいものが多いように思います．

[4. バニシッグ・ポイント]

そうしますと
池田先生の手にかかると、法科大学院なんかは、どうご評価されるんでしょうか？
たしか、以前のブログでは、「公務員試験上級職（法律職）経由の官僚全員に法曹資格を付与すれば、天下り対策にもなって一石二鳥だ」と書かれてあったような記憶が。。

[5. toru]

> 大学はシグナリング（スクリーニング）機能に特化しているので、教育内容は形骸化しており、大部分は時間の無駄だ。
原因は？
将来採用する企業の問題ですか？
大学の問題ですか？
教員の問題ですか？
学生の問題ですか？
評価の問題ですか？
学閥の問題ですか？
大学・大学院で高等教育を行い、世界的な業績に寄与出来るようにすべきです。

[6. TarO]

　私も、ポズナーの意見に近いです。今の日本の（あるレベル以下の）大学は、大学の側も教育のつもりではなくて、商売のつもりでやっているでしょう。あと、官僚の天下り先ですしね。私は、私学助成金のうち四流大学の分を、国公立大学とまともな専門学校（看護学校等）に回すべきだと思います（今、国立大学の学費が 50～60 万円／年もします）。
　私は工学系院生なのですが、工学系の場合、日系の企業（メーカー）はマスターを取りたがるので、進学する学生が多いという事情もあります（なお、大学院教育の内容は、仕事には一切役立ちません。方法論はある程度役立つそうですが。）。
　また、偏差値と「仕事ができるかどうか」にも、正の相関があると思います。企業の側は面倒なので、偏差値で採用するのでしょう。
　＞このためには大学の設置基準を緩和して、専門学校を大学に昇格させたほうがよい。
　逆に、（現実には難しいですが、）大学を専門学校に格下げしてはどうでしょうか？大学を出ていることが、採用試験の受験資格であるかのような風潮がおかしいと思うのです。

[7. Unknown]

大学は学歴のために卒業するものだと思います。
本筋からずれますが、私的には、大学の外国語の単位を英会話教室で受講できた方が良いと思っています。また、プログラミングなども、企業から派遣された人が、教えにきてほしいと思っていました。高校の授業なども、大手の予備校にアウトソーシングして、派遣された講師たちが学校で事業をした方が、余計な公務員を増やさなくてよくなるし、授業の効率もよくなるのではないかと思っています。今の時代、インターネットやビデオを使って、自宅で授業を受けることも可能ですし、授業のあり方がどう変わっていくか楽しみではあります。

[8. Unknown]

国公立大学しか選択しかなかった男にとっては
＞私学助成金のうち四流大学の分を、国公立大学とまともな専門学校（看護学校等）に回すべきだと思います
　もっともだと思います。
＞逆に、（現実には難しいですが、）大学を専門学校に格下げしてはどうでしょうか？大学を出ていることが、採用試験の受験資格であるかのような風潮がおかしいと思うのです
　自惚れかも知れませんが大学の納付金が幼稚園のそれより安かったので今の私があると思います。

[9. Unknown]

世の中には大学院レベルの知識が必要だったりする職業もあれば、「便利屋」程度のレベルで充分な職業もあります。人生いろいろ、仕事もいろいろですｗ。
本来高等教育は、「有能な人間が持つ能力を最大限引き出す」という役割と、「さほど能力のない便利屋をふるい分ける」という機能を目的としていたはずです。
政治や教育に対する企業の影響力が強すぎて、そういった「役割」や「機能」が今ひとつ発揮できなくなっているのが問題ではないのかと思いますが。

[10. Unknown]

＞語学や会計などの実務的なスキルを多くの人々に学ばせ、知識の裾野を広げることだ。
外国語や会計を学ぶと知識の裾野はおそらく広がるでしょう。しかしこれらをスキルとしてしかも企業のお墨付きとして学ばせるとなると、裾野を広げるような機能は落ちてやせ細って意味のないものになるでしょう。これはいまTOEIC・TOEICと騒いでいる人たちを見れば容易に想像がつくかと。
　それから「実社会で役に立つ」という言葉がじつに不明瞭です。まず企業は社会の一部でしかないのに大部分だと勘違いしている人たちがいて、その人たちがとんでもないことを言う。また役に立つというのは具体的な業務に直接に役に立つことなのか、考え方や発想の基礎になるのかという問題があります。後者を言い訳にして本当に何の役にも立たないことを教えている教員は問題ですが、後者をまったく省みない人たちも相当に問題です。
　上のほうのコメントで学校で教えていることがおそらく直接的な意味で役に立たないといっている人がいますが、直接的に役に立つようなことを学校で教えることができるようには到底思えません。仕事のバリエーションは極めて広いですし、もしそれを実現したとして具体的に業務に携わっていないのに動機付けがまったく足りるとは思えません。
　教育についてもっともましな政策はそれを受ける人間の自由を広げることでしょう。大学院拡大政策で例えばもし世間や企業が「人並みに大学に行っていれば十分でそれ以上は余計」と考えていて学生の自由を奪っているとします。それにたいしてその制限を取るものであればおそらくよい結果をもたらすでしょう。そうではなく大学ごとに人数を割り当てて、半ば無理に進学させるような圧力をかければ失敗になるでしょう。

[11. Unknown]

>まして大学院教育の内容は非常に特殊であり、実社会で役立つことはほとんどない。それは「勉強が好きだ」というシグナルにはなるが、「使いにくい専門バカ」というシグナルにもなるので、便利屋を好む日本の企業には歓迎されない。
文系院卒の私には非常に耳が痛い話です。まさしくおっしゃるとおりで、勉強は好きですが、仕事は嫌いです。おかげさまで金融機関の類は一切内定が取れませんでした。今の職場は非常に寛大です。
理系の場合は学校推薦が優先的に院生に回るのもあるので、決して勉強好きのシグナルだけではないことは上記の方のおっしゃるとおりです。

[12. およよ]

大体、高校の３年間が長すぎる。
中学と合わせて、基本を５年にするべし。
成績優秀な奴には、飛び級を認めるべし。
高校卒業後は、基本的に全員、最低３年間は働いて社会経験を積むべし。
社会経験を積む中で進むべき人生の方向が決まり、専門の勉強をしたいと思う者だけが大学に進めば良い。
又、大学は、規定の単位を全て取って卒業か中退かという二者択一では無く、たとえ１単位でも取得科目の証明書を発行すべし。
年齢に関係なく、学びたくなった時に、学びたい分野の学問を受講出来るシステムを大学は提供するべきだ。
この場合必然的に、入学は簡単だが単位取得は難しい、という形態になると思う。

[13. 池田信夫]

補足
大学教育が人的資本を高めるかどうかについては、ポズナーも紹介するように、厳密な研究が行なわれています。たとば一卵性双生児で大学へ行った人とそうでない人というような比較をしても、能力に有意な差はないというが多くの結論です。ただし高校までの教育については効果があります。
だから本当は、大学という制度を廃止して、必要な科目だけを「モジュール化」して年齢にかかわらず学べる専門学校のようなものにしたほうがいいと思います。一般教養みたいなものは、講義を聞かなくても、読書など他のメディアで身につきます。語学なんか、それこそNOVAのほうがずっと効率的です。

[14. マツ]

文部科学省の大学院拡大政策の背景には、少子化の中で生き残りたい諸大学の意向が働いている、というかそれが本当の実質的理由なのだと思っていました。

[15. mohno]

大学
せっかくまとまった時間とお金をかけるのですから、勉強しましょう。勉強“だけ”の場所ではないでしょうが、「時給を上げられること」だけが「役立つこと」というわけでもないでしょう。

[16. Shoon]

語学や会計などの実務的なスキルを多くの人々に学ばせることが、どう知識の裾野を広げることになるのかが疑問です　それは知識ではなくスキルであるはずです
また大学教育がどのような点が時間の無駄で実社会で役に立たないのでしょうか？？
それと関連して、一般教養みたいなものは確かに本を読めば身につきますが、大学教育によって多少の強制性を持たせ、広く啓蒙する、そういう意味での知識の裾野を広げることで、一人一人が日本の諸問題を主体的に考えるようになり、日本の民主主義を正常に機能させる、という目的においてはあながち無駄ではないのではないか、と考えます

[17. s.y.]

大学の存在意義
大学という制度を廃止した方がよいという意見には賛成できません。現在の大学（学部の方）は、同世代の人間達と自分自身とを比較できる場を提供することによって、学生達の自己発見・進路決定を助けるという大きな役割を果たしていると思います。たとえば、物理学に興味があるが、物理学の研究者になるべきかどうか迷っている、という人は、大学という場で物理学を学ぶことによって、自分は同世代の他の人たちより数学力が高いな、とか、数学力はないが物理学に寄せる情熱が強いな、とか、逆に、自分よりも数学力や物理への情熱が強い連中がいるんだな、といったことを感じ取り、そのようにして得られた情報に基づいて自分自身の進路を決定することができます。
それから、語学に関してですが、現在の大学における語学教育の最大の目的の一つは、学生達が学術的な論文を読み書きできるようにすることですので、NOVAなどに肩代わりしてもらうことは困難であると考えられます。

[18. およよ]

＞どう知識の裾野を広げることになるのかが疑問です　それは知識ではなくスキルであるはずです
社会が大学に求めているのは、大部分が「知識の伴ったスキル」だと思うのですが。

[19. 人事採用の仕事も回ってくる中年社員]

Shoonさんへ
Shoonさんへ
池田先生がせっかく興味深いブログのリンクを教えてくれているのだから、それを読んでから質問やコメントされるのがいいと思いますよ。読めばどこに論点があるかわかるので、こんな質問は出ないのでは？
そんなに難解な英語ではありませんから、がんばって！

[20. blog49]

耳が痛い面もあるのですが
社会人になってから便利屋にならないために大学院に通ったわけですが、まあ会社で何年かして　あ～こううことを体系的に学びたいということも出てくるわけで。
おかげで専門バカとは呼ばれないわけですが、その専門性もみとめていただけない。そんな感じです。自分の金で行くことが身につける最初の手段であるとは感じました。
プライドは持ってませんよ。会社でもそんなに多くの人が知っているわけではないし。
ただ、あいつは勉強が好きなのだ！ということにはなっていますが、良し悪しです。

[21. Miyamoto]

賛成。
>大学はシグナリング（スクリーニング）機能に特化しているので、教育内容は形骸化しており、大部分は時間の無駄だ。まして大学院教育の内容は非常に特殊であり、実社会で役立つことはほとんどない。
この４月に工学系の大学院の修士課程を卒業しました。
池田さんの言うことには，実感を持って納得できます。
さらに，今就職のために時間を無駄にせざるを得ない院生たちに対する具体的で実用的な方法はあるのでしょうか。
大学院に進学せざるをえない多くの同世代の方たちが不憫でなりません。

[22. Unknown]

企業面接
企業は４大卒の採用については、特に勉学の中身などは特に重視しないのではないでしょうか？大学で学生が学ぶ多くのことは、実社会ではおままごと程度のことで、即戦力として大して役立ちませんから。
大体学生が１年掛けて学ぶ内容なんて、企業では１～２ヶ月で学び取らなければならないスピードですよね。だから入社してからでも全然問題ないです。むしろ資質・潜在能力を重視です。
そうなれば当然学歴重視です。これは一流大学であれば、受験戦争を勝ち抜いた証明書みたいなもので、目標達成力、自己管理統制力、忍耐力、記憶力などにおいて優れていることを意味します。何事にも例外はありますが、少なくても確率的に偏差値の高い大学生を採用するほうがいいと言えます。（アマチュア優秀スポーツ選手もしかり。）
一方で院生についてですが、社会では（企業内活動）、多くが論理的結論で行動しているのではなく、むしろ人間関係（人間感情）で行動・意思決定を行っているケースが大変多く、論理的思考に優れた院生は、とりわけ使いにくいというのが印象ですね。
そういう訳で、大学４年間というのは、クラブやアルバイト、遊びを通した人間関係構築力アップの人的資本の総量を高める期間でもあるわけです。

[23. Unknown]

>一卵性双生児で大学へ行った人とそうでない人というような比較をしても、能力に有意な差はない。
比較のために諸条件を合わせるための一卵性双生児なのでしょうが、一卵性双生児だからこそもっとも差異が小さくなることは想定されますよね。びっくりする検証結果ではないですよね。
人的資本の総量の大枠は、大方１８歳までに形成されていると思いますので、差異が出にくいのは当たり前だと思うのですが・・・。
世の中は偏差値の良い悪いだけでは動いていない。それはほんの一部ですよね。凡人の私としては、小学校の時からの感覚として、頭のいい人ほど人間的に冷たくて自己中心的な印象を持ち、コミュニケーション能力が低いなあと感じたりしました。（自分の中に嫉妬心があったからかな？頭がいい人は、相手に妬まれる対象となるという現実社会の存在・・・）

[24. Unknown]

＞大体学生が１年掛けて学ぶ内容なんて、企業では１～２ヶ月で学び取らなければならないスピードですよね。
それはさすがに質が違うからではないですか？
学部教養レベルならともかく専門レベルや大学院レベルとなるとそんなに簡単にはいきませんよ。社会人相手にしなくてはならない大学教員は複雑で時間のかかることを以下に単純化して、悪く言えば誤魔化して、説明するかに腐心しています。そうやって単純化したもので企業は十分と思っているかもしれませんが、本当に十分なのかどうなのかは怪しいところかと。

[25. およよ]

＞むしろ資質・潜在能力を重視です。
＞そうなれば当然学歴重視です。
どうかなあ～？
大学受験なんて、ほとんどが「記憶力＋忍耐力」でクリア出来るからねえ。
実社会では、もちろん記憶力等も重要だけど、「人間力」の勝負でしょ。
人間力＝心技体（技＝頭脳＋技術）だと思うなあ。

[26. momo]

>そうなれば当然学歴重視です。これは一流大学であれば、受験戦争を勝ち抜いた証明書みたいなもので目標達成力、自己管理統制力、忍耐力、記憶力‥‥。
こういう考え方が行き詰って出されたのが、20年程前に言われた教育改革ではなかったでしょうか。
上記のような学生の欠点、
1.自発性に欠ける
2.創造力に乏しい
3.自己を選民と思い他を見下す。
等等を何とかしないとグローバル化に乗り遅れる、と言う危機意識で、学歴社会の打破が叫ばれていてたと思うのですが、今は又、元に戻ったのですか？
＞むしろ人間関係（人間感情）で行動・意思決定を行っているケースが大変多く、論理的思考に優れた院生は、とりわけ使いにくいというのが印象ですね。
論理的思考に優れた院生が使いにくいとは、私の属している組織では経験した事がない。論理的思考を持っていないと会社で使い物にならないのが最近の社会情勢ではないですか？　少なくとも対外的な仕事の多い会社で、根回し人間ばかり育てると良くないと思いますが。
論理的思考に過れた院生が使いにくいとは、院生の責任ではなく、使っている人の資質の問題ではないですか？
今の日本の政治が正にそうでしょう。国民に感動を与えるようなメリハリの利いた言葉が少ない。無い事が対外的軋轢の元になる、慰安婦問題を見てもそうです。
ISO9000の条文もよく理解できず、論理的思考に欠け、カン、経験と情で会社を動かすのは私の経験で言えば60歳もかなり上の人たちです。

[27. およよさんへ]

人間力って言葉、さっぱり意味がわからないのですが・・・。
人間力＝心技体（技＝頭脳＋技術）
の式もほとんど意味不明ですし。
　この言葉をグーグルをかけるとアホ丸出しの研修屋がトップで次にどう見ても揶揄してるはてなダイアリー、次にアホ丸出しの政府謹製国民運動が出てきます。
　いったいこの言葉は何を意味しているのでしょうか？例えば企業の採用でこのわけのわからないものを使ってもまあ馬鹿がいるということで仕方がありませんが、公務員や教員の採用にこんなものを使えば大問題になります。

[28. およよ]

＞人間力って言葉、さっぱり意味がわからないのですが・・・
何故わからないのか、判らないのだが・・・
学歴が重視されるのは学生時代だけ。
重要な問題は、知識だけでは解決出来無い。
他人を動かすのは知識や、ましてや経歴などでは無い。
あえて言えば存在感、迫力と言い換えても良いかも知れない。
企業が大学のスポーツクラブ出身者を優先的に採用するのは、それなりの根拠がある。
知識で通用するのは、二流の専門職まで。
頭脳＝観察力（含インスピレーション）＋想像力＋記憶力＋思考力＋創造力＋etc
学歴で計れる資質・潜在能力は、人の能力の全体性の中の極々一部に過ぎない。
＞公務員や教員の採用にこんなものを使えば大問題になります。
客観評価の名目で、非効率な採用が行われていると言うことだろう。
だから、公務員はレベルが低いのだ。
これだけ言っても判らないなら、後は知らん。

[29. ひろりん]

大学をすべて東大にすれば
＞大学教育はシグナリング
基本的にはそうなりますよね。
日本中の大学をすべて東大という名前にし、
学部も統一し、どの東大に入るかの選択の自由をなくすなり、すべて、旧東大の教授による通信教育にすれば、いまのような入試のための受験競争はなくなり、
かわりに司法試験や公務員試験の需要が増すと思います。
つまりシグナルというわけですね。

[30. law学生]

上の方の誰かの質問に答えて。
法科大学院の教育も，現状は，司法試験の科目が増えたのに対応した，という段階に留まっていると思います。最先端のことは実務で学べという従来からの育成方式は変わっていません。司法試験に合格し，実務修習も終えた人向けの，先端教育の場がどこかに必要ではないかと思います。現状では，それは米国への留学しかないのかも。

[31. Unknown]

池田様：
「ポズナーも紹介するように」とありますが、このあたり、よりわかりやすく開設していただけないでしょうか。英文読め、となるんでしょうが、読めないので・・・。
と、いうのは、アメリカの場合、高校まではほとんど勉強してませんよね。ハーバードの一年生は、難関中学の3年生レベル。それが、大学4年間で鍛えられ、東大4年生とハーバード4年生は同レベルになっている。逆に言うと、高卒で社会に出た場合、独学でよほどやらない限り、永久に（日本人感覚では）中学生レベルで終わると思うのですが。
ちゃんと勉強すれば独学でも大丈夫。大学に行っても勉強しなければレジャーランド。だから大学は無駄だ、という主張なら理解できます。
しかし、高卒でしかも独学もしない場合でも、大卒と能力が変わらない、というならば（池田さんの主張は、そのような解釈も可能）、よほどの根拠を示していただかない限り釈然としないものがあります。

[32. Unknown]

＞論理的思考に優れた院生が使いにくいとは、私の属している組織では経験した事がない。
それは、momoさんがすばらしいのか？上司がすばらしいのか？それとも院生の方々がすばらしい？のでしょうね。
しかし、そこで考えなければいけないのは、いくら院生がすばらしくても、上司が使いにくいと思ってしまうことでの弊害が現実に起こってしまい、院生のすばらしさへ及ぼすマイナス影響が、上司や職場環境の影響の輪のなかに存在してしまうことだと思います。

[33. Unknown]

＞人間力＝心技体（技＝頭脳＋技術）
＞公務員や教員の採用にこんなものを使えば大問題になります。
公務員や教員にこそ心技体が高い人が採用されるべきです。当然民間でも望まれます。
ただ、その採用基準を明確に出来ないことが問題です。

[34. DreamChaser]

工学系でも？
> 特に日本では、大学はシグナリング（スクリーニング）機能に
> 特化しているので、教育内容は形骸化しており、大部分は
> 時間の無駄だ。まして大学院教育の内容は非常に特殊であり、
> 実社会で役立つことはほとんどない。
というのは非自然科学系大学院のことだろうと思ってコメントを拝見すると，工学系大学院に在籍又はそこを卒業されている方でも，同じ感想を持っている方がおられるのですね．一体，どんな酷い教育を受けてきたのでしょうか．技術者・研究者として一流の仕事をするのであれば，修士課程が無駄には到底思えないのですが．まあ，これも私が在籍する大学ならそう言えるというだけのことかもしれません．
いずれにせよ，そういう酷い教育をしている大学院を現状のまま保護してもダメですから，そういう意味で，メリハリのある予算配分は合理的です．ただ，教育や研究を評価する術を持たないのに，一体どうするつもりか．そこが気になります．

[35. 画期的な考察]

画期的な考察
以下のページに、人的資本仮説とシグナリング仮説を接合するような画期的な考察が展開されています。
http://109274.nobody.jp/042807.html
なお、筆者は、他の記事から総合すると、アメリカ在住の経験のある匿名の経済学研究者ではないでしょうか。

[36. 画期的な分析]

画期的な分析
１０分で分かる『学校は人的資本を形成するのか？』
によると、学校の人的資本形成効果はゼロかマイナスで、シグナリング仮説が正しいようです。
http://keijisaito.info/PDF/wage_human_capital_10ja.pdf