デジタル放送のコピーワンスをめぐる議論が迷走している。情報通信審議会の検討委員会では、コピーワンスの条件を緩和する話し合いが行なわれたが、「回数限定で1世代のみコピー可」とすることは合意したものの、そのコピー回数について意見がまとまらなかったという。
昨年のDVDレコーダーの国内出荷台数は、前年比18%減となった。世帯普及率はまだ40%台なので、これは市場が飽和したためとは考えられない。その最大の理由は、関係者が一致して指摘するように、コピーワンスのおかげで操作が複雑になり、普通の視聴者には扱えない機器という印象が広がったためだ。たとえば、あずまきよひこ.comで紹介されているように、番組をPCで見るためには、DVD再生ソフトやDVDドライブなどをすべて買い換えなければならない。
しかし、もう一つの関係者が気づいていない問題がある。それはVTRでも不自由しないということだ。わが家のテレビは1999年、VTRは1998年に買ったもので、映像はかなりひどいが、買い換える気はない。テレビは見えればいいので、画質なんか気にしてないからだ。そもそも「ひどい」と感じるのは、私が昔テレビ局のスタジオ・モニターを見ていたからで、普通の視聴者はひどいとも感じていないだろう。
20年ほど前、NHKのハイビジョン・プロジェクトで視聴者のブラインド・テストをやったとき、われわれが衝撃を受けたのは、ほとんどの視聴者が画質を見分けられないということだった。ハイビジョンの番組と、普通の番組を単に横長にしたものを30インチ以下のモニターで見せると、90%以上の人が区別できない。いろいろな条件を変えて「どっちの映像がきれいか」と質問すると、もっともはっきり差が出るのは、色温度とコントラストで、解像度は最下位だった。
アンケート調査で、視聴者がもっとも望んだのは「見たい番組をいつでも見られるようにしてほしい」ということで、「たくさんのチャンネルを見られるようにしてほしい」という答も多かった。「いい画質で見たい」という答は最下位だった。だから今までと同じ番組の解像度を単に上げるだけの地上デジタル放送には、もともと需要がないのだ。
アナログ放送なら自由にできるコピーが、デジタル放送ではできないのでは、デジタル化のメリットはないどころかマイナスだ。しかもコピーワンスが緩和されると、今の機器では対応できないので、テレビやDVDレコーダーを買うのは規格が変わるまで待ったほうがいい。情通審の話し合いが長期化すればするほど、買い控えは広がるだろう。供給側の論理で消費者をバカにした規格を決めると、結局は地デジそのものが行き詰まってしまうということにテレビ局が気づくのは、いつだろうか。
昨年のDVDレコーダーの国内出荷台数は、前年比18%減となった。世帯普及率はまだ40%台なので、これは市場が飽和したためとは考えられない。その最大の理由は、関係者が一致して指摘するように、コピーワンスのおかげで操作が複雑になり、普通の視聴者には扱えない機器という印象が広がったためだ。たとえば、あずまきよひこ.comで紹介されているように、番組をPCで見るためには、DVD再生ソフトやDVDドライブなどをすべて買い換えなければならない。
しかし、もう一つの関係者が気づいていない問題がある。それはVTRでも不自由しないということだ。わが家のテレビは1999年、VTRは1998年に買ったもので、映像はかなりひどいが、買い換える気はない。テレビは見えればいいので、画質なんか気にしてないからだ。そもそも「ひどい」と感じるのは、私が昔テレビ局のスタジオ・モニターを見ていたからで、普通の視聴者はひどいとも感じていないだろう。
20年ほど前、NHKのハイビジョン・プロジェクトで視聴者のブラインド・テストをやったとき、われわれが衝撃を受けたのは、ほとんどの視聴者が画質を見分けられないということだった。ハイビジョンの番組と、普通の番組を単に横長にしたものを30インチ以下のモニターで見せると、90%以上の人が区別できない。いろいろな条件を変えて「どっちの映像がきれいか」と質問すると、もっともはっきり差が出るのは、色温度とコントラストで、解像度は最下位だった。
アンケート調査で、視聴者がもっとも望んだのは「見たい番組をいつでも見られるようにしてほしい」ということで、「たくさんのチャンネルを見られるようにしてほしい」という答も多かった。「いい画質で見たい」という答は最下位だった。だから今までと同じ番組の解像度を単に上げるだけの地上デジタル放送には、もともと需要がないのだ。
アナログ放送なら自由にできるコピーが、デジタル放送ではできないのでは、デジタル化のメリットはないどころかマイナスだ。しかもコピーワンスが緩和されると、今の機器では対応できないので、テレビやDVDレコーダーを買うのは規格が変わるまで待ったほうがいい。情通審の話し合いが長期化すればするほど、買い控えは広がるだろう。供給側の論理で消費者をバカにした規格を決めると、結局は地デジそのものが行き詰まってしまうということにテレビ局が気づくのは、いつだろうか。
供給者側の事情ばかり優先させて、消費者が付いてくるとでも思ってるのでしょうか。そもそもテレビ局が考えているほどテレビ番組が価値があるものとも思えませんけどね。
これでは日本版ユーチューブは生まれそうにないですね。