慰安婦問題で不気味な沈黙を守っていた朝日新聞が、ようやく反撃(?)を開始した。きょうの夕刊の「ニッポン人脈記」というコラムによれば、慰安婦は北朝鮮の拉致と同じなのだそうである。「甘言を使って慰安婦を集めたのは、北朝鮮と同じ」だと吉見義明氏はいう。北朝鮮は、政府が公権力によって拉致したことを認めている。慰安婦がそれと同じだと主張するには、少なくとも「慰安婦を拉致せよ」と日本軍が業者に命じたことを立証しなければならないが、当の吉見氏は著書の中でそういう証拠はないことを認めている。彼のいう「広義の強制」とは
このコラムは「慰安婦問題が国際的に知られるのは、1992年2月に戸塚悦朗氏が国連に訴えたことがきっかけだった」としているが、読売新聞の便利なまとめによれば、これを国際問題にしたのは朝日新聞である。
ワシントンポストのようにものを知らない海外メディアがこういう議論をするのはまだわかるが、当の問題を作り出した朝日新聞が、自分の誤報に口をぬぐって、安倍政権を北朝鮮と同列に扱う神経が信じられない。当ブログへのコメントによれば、朝日新聞の広報室は、吉田証言が虚偽だったことは認めたようだが、「女子挺身隊」についてはまだ誤報だと認めていない。やはり92年1月の大誤報について訂正記事を出させなければ、こういう無知な人物は「歴史を直視」できないのだろう。
追記:けさの社説では、下村官房副長官の「軍の関与はなかった」という発言を取り上げて批判している。たしかに、軍の関与を全面否定する下村発言は誤りである。さすがに論説委員は、強制連行が争点であることを認識しているようだが、結局また「慰安婦の生活は『強制的な状況の下での痛ましいもの』だったことは否定しようがない。強制連行があったのか、なかったのかにいくらこだわってみても、そうした事実が変わることはない」と問題をすりかえる。同じ逃げ口上を何度も書かないで、「強制連行があったのか、なかったのか」をまずはっきりしてよ。
その女性の前に自由な職業選択の道が開かれているとすれば、慰安婦となる道を選ぶ女性がいるはずはない。たとえ本人が、自由意思でその道を選んだようにみえるときでも、実は、植民地支配、貧困、失業など何らかの強制の結果なのだ。(『従軍慰安婦』岩波新書p.103、強調は引用者)という主観的な概念である。この命題は、反証不可能だ。慰安婦が自発的に応募したことが明らかであっても、吉見氏の定義によれば、植民地支配のもとではすべての行為は強制なのだから。論理学では、こういう命題をtrivialという。
このコラムは「慰安婦問題が国際的に知られるのは、1992年2月に戸塚悦朗氏が国連に訴えたことがきっかけだった」としているが、読売新聞の便利なまとめによれば、これを国際問題にしたのは朝日新聞である。
慰安婦問題が政治・外交問題化する大きなきっかけを作ったのは、92年1月11日付の朝日新聞朝刊だった。「日本軍が慰安所の設置や、従軍慰安婦の募集を監督、統制していたことを示す通達類や陣中日誌が、防衛庁の防衛研究所図書館に所蔵されていることが明らかになった」と報じたもので、「従軍慰安婦」の解説として「開設当初から約8割が朝鮮人女性だったといわれる。太平洋戦争に入ると、主として朝鮮人女性を挺身隊の名で強制連行した。その人数は8万とも20万ともいわれる」とも記述していた。さらに菅総務相を登場させて、安倍首相が強制性を否定することについて「あの人、むきになるんですよ、そういうところ」といわせている。この筆者(早野透というコラムニスト)は、どうやら「事実としては(朝日が報じたとおり)強制はあったんだけど、安倍氏がむきになって否定している」と信じているようだ。彼は、明らかにこの問題の経緯をよく知らないで書いている。それは「従軍慰安婦」という普通の記事には出てこない表記が何度も出てくることでもわかる。
ワシントンポストのようにものを知らない海外メディアがこういう議論をするのはまだわかるが、当の問題を作り出した朝日新聞が、自分の誤報に口をぬぐって、安倍政権を北朝鮮と同列に扱う神経が信じられない。当ブログへのコメントによれば、朝日新聞の広報室は、吉田証言が虚偽だったことは認めたようだが、「女子挺身隊」についてはまだ誤報だと認めていない。やはり92年1月の大誤報について訂正記事を出させなければ、こういう無知な人物は「歴史を直視」できないのだろう。
追記:けさの社説では、下村官房副長官の「軍の関与はなかった」という発言を取り上げて批判している。たしかに、軍の関与を全面否定する下村発言は誤りである。さすがに論説委員は、強制連行が争点であることを認識しているようだが、結局また「慰安婦の生活は『強制的な状況の下での痛ましいもの』だったことは否定しようがない。強制連行があったのか、なかったのかにいくらこだわってみても、そうした事実が変わることはない」と問題をすりかえる。同じ逃げ口上を何度も書かないで、「強制連行があったのか、なかったのか」をまずはっきりしてよ。