2/2と2/5の地球温暖化についての記事には、予想以上に多くの反響があった。政府やメディアの「大本営発表」を疑う意見は、日本では当ブログぐらいしかなかったからだろうか。
しかし海外のブログでは、温暖化対策の効果に懐疑的な意見が多い。Becker-Posner Blogでは、ベッカーは100年後の問題について普通の費用便益分析で使われる割引率を使うと、温暖化対策の割引現在価値はそのコストをはるかに下回ると指摘している。京都議定書の完全実施によって100年後に被害が防止される効果を1兆ドルと想定すると、これを3%で割り引いた現在価値は約1/20だから、約500億ドル(*)。これは京都議定書の完全実施にかかると想定されるコスト、1兆ドルを大きく下回る。これにポズナーが反論しているが、コメントでは圧倒的にポズナーに批判的な意見が多い。
Instapunditも、温暖化対策には疑問を示しているが、化石燃料を節約することは重要な問題だとしている。それがすぐ涸渇することはないとしても、有限な資源であることは明らかであり、しかも石油は化学工業の原料として必須なので、それを単に燃やしてしまうのは愚かな使い方だ。
WSJが今週行ったエコノミストへのアンケートでも、47人中40人が(京都議定書のような)エネルギー規制よりも化石燃料への課税のほうが望ましいとしている。温暖化対策には大した緊急性がないが、価格の不安定な石油への依存度が高いことは経済的に大きな問題であり、化石燃料からの税収をエネルギー節約技術や代替的な燃料の開発にあてればよいのである。
京都議定書の想定している排出権取引は、アメリカでは一部の地域で大気汚染に適用されて成功したが、それがグローバルな規模で成功すると考える経済学者は少ない。第1にCO2は有害物質ではないので、排出量の基準がはっきりしない。京都議定書の削減目標は、科学的根拠のない政治的な数字であり、特に日本が目標(1990年の排出量-6%)を達成するには、今の水準から25%以上削減しなければならず、不可能である。第2に、排出量を検証して違反した場合に処罰するルールがなく、ロシアなどは日本から金だけ取って何もしない可能性が高い。
これに対して、日本の状況は奇妙だ。国会が全会一致で京都議定書を批准し、来年から始まる「約束期間」に向けて排出権の割り当てなどの作業が進む一方、環境税には財界が強く反対している。その表向きの理由は「自発的な努力で京都議定書の目標は達成できる」というものだが、そんなことを信じている専門家はひとりもいない。今は地球の危機だなんだと騒いでいるメディアも、来年から冷暖房や自動車が規制され、深夜放送が禁止されるとなったら、「各論反対」にまわって収拾がつかなくなるのではないか。
(*)最初のバージョンは計算が間違っていたので訂正した。詳細はコメント欄参照。
しかし海外のブログでは、温暖化対策の効果に懐疑的な意見が多い。Becker-Posner Blogでは、ベッカーは100年後の問題について普通の費用便益分析で使われる割引率を使うと、温暖化対策の割引現在価値はそのコストをはるかに下回ると指摘している。京都議定書の完全実施によって100年後に被害が防止される効果を1兆ドルと想定すると、これを3%で割り引いた現在価値は約1/20だから、約500億ドル(*)。これは京都議定書の完全実施にかかると想定されるコスト、1兆ドルを大きく下回る。これにポズナーが反論しているが、コメントでは圧倒的にポズナーに批判的な意見が多い。
Instapunditも、温暖化対策には疑問を示しているが、化石燃料を節約することは重要な問題だとしている。それがすぐ涸渇することはないとしても、有限な資源であることは明らかであり、しかも石油は化学工業の原料として必須なので、それを単に燃やしてしまうのは愚かな使い方だ。
WSJが今週行ったエコノミストへのアンケートでも、47人中40人が(京都議定書のような)エネルギー規制よりも化石燃料への課税のほうが望ましいとしている。温暖化対策には大した緊急性がないが、価格の不安定な石油への依存度が高いことは経済的に大きな問題であり、化石燃料からの税収をエネルギー節約技術や代替的な燃料の開発にあてればよいのである。
京都議定書の想定している排出権取引は、アメリカでは一部の地域で大気汚染に適用されて成功したが、それがグローバルな規模で成功すると考える経済学者は少ない。第1にCO2は有害物質ではないので、排出量の基準がはっきりしない。京都議定書の削減目標は、科学的根拠のない政治的な数字であり、特に日本が目標(1990年の排出量-6%)を達成するには、今の水準から25%以上削減しなければならず、不可能である。第2に、排出量を検証して違反した場合に処罰するルールがなく、ロシアなどは日本から金だけ取って何もしない可能性が高い。
これに対して、日本の状況は奇妙だ。国会が全会一致で京都議定書を批准し、来年から始まる「約束期間」に向けて排出権の割り当てなどの作業が進む一方、環境税には財界が強く反対している。その表向きの理由は「自発的な努力で京都議定書の目標は達成できる」というものだが、そんなことを信じている専門家はひとりもいない。今は地球の危機だなんだと騒いでいるメディアも、来年から冷暖房や自動車が規制され、深夜放送が禁止されるとなったら、「各論反対」にまわって収拾がつかなくなるのではないか。
(*)最初のバージョンは計算が間違っていたので訂正した。詳細はコメント欄参照。



京都議定書万歳!というような日本の空気に反する意見がもっとあってもいいと思う。
この点で興味深く読みました。
イデオロギッシュな反論コメントが多数載りそうですが、環境問題は理性的に広い視野で考えてみるべきテーマだと思います。