文藝春秋編

文藝春秋

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毎年恒例の『日本の論点』に、私も執筆した(地デジについて)。この種の企画は、いつも「朝日新聞vs文芸春秋」の延長戦ばかりで興味がないのだが、さすがにそういう話題を好む読者層が高齢化してきたため、格差社会とかITとか、幅を広げようとしているようだ。執筆者も、「いかにも進歩的知識人」という人や「いかにも右翼」という感じの人は少なくなったが、そのぶん論争の温度も低くなっている。

気になるのは、松原聡氏が通信・放送懇談会で「NTTのアクセス部分を本体から機能的に分離し、さらに現在、持株会社の下にぶら下がる形になっている四つの事業会社を独立させるべきとの提言をまとめた」とのべていることだ。これは事実に反する。懇談会の最終報告書では、「機能分離」と「資本分離」が両論併記になり、それも自民党の片山虎之助氏(通信・放送産業高度化小委員長)との調整で2010年に先送りされた。そもそも、この懇談会の出発点は「現在のNTTの経営形態は電話時代の区分で、インターネット時代にはそぐわない」ということだったはずだ。それを今ごろ電話時代のまま資本分離せよというのは、座長が懇談会の議論を理解していなかったことを示している。

ワースト1は、松原隆一郎氏の「民間に不要な費用負担を強いる『小さな政府』論は虚妄である」という記事だろう。彼は、当ブログでも取り上げた国民負担率などの周知のデータをあげて、「日本は小さな政府を目ざすべきではない」ことを力説する。では、どうすればいいのかといえば、「適正な政府」を目ざすべきなのだそうだ(笑)。こういう人物が、駒場では経済学を教えているというから、東大生の学力低下が心配だ。