Gmailやグーグル・カレンダーを使っていると、「ウィンドウズはデバグの不十分なデバイスドライバ(a poorly debugged set of device drivers)になるだろう」という有名な言葉を思い出す。これはネットスケープのMarc Andreessenが言ったとされ、ビル・ゲイツがこれを聞いて激怒したという話もあるが、その出所はわからない。おそらく、よくできた民間伝承なのだろう。
たしかに、この言葉はIT産業における競争の本質をうまく言い当てている。ウィンドウズに対する脅威はOSではなく、別の階層から来るだろう。それはおそらくブラウザで、それさえ動けばOSは何でもよいし、なくてもかまわない。事実、ネットスケープはコードをJavaで書き直してOSに依存しないブラウザを開発しようとしたが、失敗に終わった。
今、グーグルが実現しつつあるのは、このOSのデバイスドライバ化だ。ウェブに加えて、メール、カレンダー、スプレッドシート、文書作成(Writely)が使えれば、ウィンドウズ上のアプリケーションはほとんど必要なくなるかもしれない。このシステムがすぐれているのは、そのAPIを使って第三者が多くのアプリケーションを「マッシュアップ」し、日々進化することだ。そのスピードは、ウィンドウズ上のアプリケーションをはるかに上回るし、すべて無料だ。
ネットスケープが失敗したのは、第一にマイクロソフトがIEによってネットスケープをつぶしたからだ。しかし、より本質的な原因は、ネットスケープがIEの追撃を振り切る囲い込みの手段をもっていなかったことだ。初期には、クライアントは無料にしてサーバでもうけるというモデルだったが、これはうまく行かなかった。後年にはNetcenterを「ポータル」にしてもうけることを試みたが、これは遅すぎた。
他方、グーグルが成功したのは、これも第一にマイクロソフトがつぶさなかったからだ。これは、ある意味では最初の成功の副産物である。IEによってウィンドウズを守ることに成功したマイクロソフトは、司法省との訴訟でブラウザをOSの一部と主張した結果、MSNなどのサービスと統合する戦略をとれなかった。訴訟後は保守的・官僚的になり、主な仕事はセキュリティのパッチをつくることになってしまった。そしてグーグルは、メールやカレンダーなどの個人情報によって着実に囲い込みを始めている。
ビル・ゲイツの後継者となるRay Ozzieは"Internet Service Disruption"という内部文書で、マイクロソフトの失敗の原因を分析している。彼が、その第一の原因にあげているのが、広告による経済モデルの軽視だ。パッケージを売るという伝統的なソフトウェア流通チャネルにこだわった結果、マイクロソフトはインターネットによる効率的な流通システムの開発に後れをとってしまったのである。
しかしマイクロソフトは、パッケージ流通モデルを捨てることはできないだろう。失うものが大きすぎるからだ。Ozzieがタイトルで暗示しているように、かつてIBMが大型機のビジネスを守ろうとしてPC革命に敗れたのと同様の「イノベーションのジレンマ」に、マイクロソフトも直面しているのである。
グーグルがウィンドウズに代わる独占的なプラットフォームになるかどうかは、まだわからないが、確実なのは、ようやくマイクロソフトの時代が終わろうとしているということだ。ウィンドウズは(少なくともデスクトップでは)独占であり続けるだろうが、それは電力を東電が独占しているのと大して変わらない意味しかなくなるだろう。これは成功した企業としては自然なライフサイクルである。むしろMS-DOSから20年以上にわたってトップランナーだったのは、交代の激しいこの業界では、異例に長い「青春時代」だった。
The King is dead. Long live the King!
たしかに、この言葉はIT産業における競争の本質をうまく言い当てている。ウィンドウズに対する脅威はOSではなく、別の階層から来るだろう。それはおそらくブラウザで、それさえ動けばOSは何でもよいし、なくてもかまわない。事実、ネットスケープはコードをJavaで書き直してOSに依存しないブラウザを開発しようとしたが、失敗に終わった。
今、グーグルが実現しつつあるのは、このOSのデバイスドライバ化だ。ウェブに加えて、メール、カレンダー、スプレッドシート、文書作成(Writely)が使えれば、ウィンドウズ上のアプリケーションはほとんど必要なくなるかもしれない。このシステムがすぐれているのは、そのAPIを使って第三者が多くのアプリケーションを「マッシュアップ」し、日々進化することだ。そのスピードは、ウィンドウズ上のアプリケーションをはるかに上回るし、すべて無料だ。
ネットスケープが失敗したのは、第一にマイクロソフトがIEによってネットスケープをつぶしたからだ。しかし、より本質的な原因は、ネットスケープがIEの追撃を振り切る囲い込みの手段をもっていなかったことだ。初期には、クライアントは無料にしてサーバでもうけるというモデルだったが、これはうまく行かなかった。後年にはNetcenterを「ポータル」にしてもうけることを試みたが、これは遅すぎた。
他方、グーグルが成功したのは、これも第一にマイクロソフトがつぶさなかったからだ。これは、ある意味では最初の成功の副産物である。IEによってウィンドウズを守ることに成功したマイクロソフトは、司法省との訴訟でブラウザをOSの一部と主張した結果、MSNなどのサービスと統合する戦略をとれなかった。訴訟後は保守的・官僚的になり、主な仕事はセキュリティのパッチをつくることになってしまった。そしてグーグルは、メールやカレンダーなどの個人情報によって着実に囲い込みを始めている。
ビル・ゲイツの後継者となるRay Ozzieは"Internet Service Disruption"という内部文書で、マイクロソフトの失敗の原因を分析している。彼が、その第一の原因にあげているのが、広告による経済モデルの軽視だ。パッケージを売るという伝統的なソフトウェア流通チャネルにこだわった結果、マイクロソフトはインターネットによる効率的な流通システムの開発に後れをとってしまったのである。
しかしマイクロソフトは、パッケージ流通モデルを捨てることはできないだろう。失うものが大きすぎるからだ。Ozzieがタイトルで暗示しているように、かつてIBMが大型機のビジネスを守ろうとしてPC革命に敗れたのと同様の「イノベーションのジレンマ」に、マイクロソフトも直面しているのである。
グーグルがウィンドウズに代わる独占的なプラットフォームになるかどうかは、まだわからないが、確実なのは、ようやくマイクロソフトの時代が終わろうとしているということだ。ウィンドウズは(少なくともデスクトップでは)独占であり続けるだろうが、それは電力を東電が独占しているのと大して変わらない意味しかなくなるだろう。これは成功した企業としては自然なライフサイクルである。むしろMS-DOSから20年以上にわたってトップランナーだったのは、交代の激しいこの業界では、異例に長い「青春時代」だった。
The King is dead. Long live the King!
企業ネットワークの構\築、運用をやってます。日々、通信会社のサービス停止や工事ミスによるトラブルが絶えません。
その立場から考えると、いかにGoogleのサービスが素晴らしくても、ネットワークが不通になったら何もできなくなってしまう、という結論に至ってしまいます。
効率化や災害対応のためにはネットワークでリソ\ースを分散させた方がいいのは確かなんですがね。大事な情報やシステムまでネットの向こう側に置いてしまうことのデメリットはちゃんと評価してますか?と聞きたくなります。