「複雑ネットワーク」とは何か―複雑な関係を読み解く新しいアプローチ

増田直紀・今野紀雄

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インターネットでおなじみの「ロングテール」は、数学的にいうと、ベキ法則、y=x-kに従うものである。この分布は一般の社会にも多く、たとえば英語に出てくる単語の数は、theを左上の頂点とし、ほとんど使われない単語を裾野とするロングテールになる。また所得の分布も、少数の金持ちと大多数の貧乏人(ロングテール)にわかれるという事実は、19世紀にパレートが発見し、ベキ分布は「パレート分布」とも呼ばれる。

バラバシは、これを「スケールフリー・ネットワーク」と名づけ、なぜこういう分布が出現するかをグラフ理論を使って明らかにした。それは簡単にいうと、ネットワークが成長するとき、リンクの多い「ハブ」ほど多くの新しいリンクが張られる「優先的選択」によって拡大するためだ。したがってウェブも、インターネット(ルータの接続)も、mixiもスケールフリー・ネットワークになる。また、当ブログでも前に紹介した「スモールワールド・ネットワーク」も、グラフ理論で説明できる。伝染病の感染経路や脳のニューロンの結合が、このタイプだといわれている。

こうしたモデルを使えば、「ネットワーク外部性」や「モジュール化」などの経済現象も説明できるかもしれない。ただ本書は入門書なので、実用的な教科書を求める読者には、同じ著者の『複雑ネットワークの科学』のほうがいいだろう。最近、原論文を集めたリーディングスも出たが、初心者向きではない。