役所の失敗は赤字とか倒産という結果をともなわないので、担当者が異動したら忘れられ、10年ぐらいたつと政治家が同じような話を持ち出す。今回の自民党総裁選で小林鷹之氏の提唱する「経済成長を促す戦略分野への大胆な投資」はその典型だ。
本書は通産省の産業政策の失敗を分析した研究だが、その最大の失敗例が第5世代コンピュータとTRONである。それは坂村氏が「日の丸OS」として通産省に売り込み、だまされた官僚がメーカーと文部省を引っ張り込んで学校用コンピュータの標準にしようとしたが、MS-DOSと互換性のない国内規格をまじめに開発する企業はなく、物を実際に作っていたのはパソコンで出遅れた松下だけだった。
今でも工業用のITRONは使われているので、組み込みシステムとして地味にやればよかったのに、風呂敷を広げすぎて自滅した。セールストークは派手だが、設計は凡庸で、パソコン用のBTRONの中身はMacOSの物まねにすぎない。CPU(Gマイクロ)も、互換性がないのだからせめてRISCにして処理速度を上げればよかったのに、平凡なCISCで結局、商品にはならなかった。

「日本発の国際標準」となるはずだったのに、通商交渉で米国がスーパー301条の制裁対象の候補にしてつぶしたというのは坂村健氏がいまだに繰り返している嘘だが、当時、彼と仕事で1年もつきあわされた被害者として断言する。TRONがものになる可能性は万に一つもなかった。
続きは池田信夫ブログマガジンで(初月無料)
本書は通産省の産業政策の失敗を分析した研究だが、その最大の失敗例が第5世代コンピュータとTRONである。それは坂村氏が「日の丸OS」として通産省に売り込み、だまされた官僚がメーカーと文部省を引っ張り込んで学校用コンピュータの標準にしようとしたが、MS-DOSと互換性のない国内規格をまじめに開発する企業はなく、物を実際に作っていたのはパソコンで出遅れた松下だけだった。
今でも工業用のITRONは使われているので、組み込みシステムとして地味にやればよかったのに、風呂敷を広げすぎて自滅した。セールストークは派手だが、設計は凡庸で、パソコン用のBTRONの中身はMacOSの物まねにすぎない。CPU(Gマイクロ)も、互換性がないのだからせめてRISCにして処理速度を上げればよかったのに、平凡なCISCで結局、商品にはならなかった。

「日本発の国際標準」となるはずだったのに、通商交渉で米国がスーパー301条の制裁対象の候補にしてつぶしたというのは坂村健氏がいまだに繰り返している嘘だが、当時、彼と仕事で1年もつきあわされた被害者として断言する。TRONがものになる可能性は万に一つもなかった。
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