ソフトバンクBBが、800MHz帯についてのパブリック・コメントで携帯電話への参入の意向を表明した。ただし実際には、電波が割り当てられないかぎり参入はできない。

孫正義氏が日本最後のタブー、電波利権に挑戦するのはけっこうなことだが、今回の意見書は、他の業者の電波をソフトバンクに分けろという筋の悪い話だ。こういうふうに規制の恩恵を業者間で争うことを、経済学でrent-seekingという。ソフトバンクがDSLでやってきたことも、世界一きびしい日本のアンバンドル規制を利用してNTTを攻撃しながらそのインフラにぶら下がる、典型的なrent-seekingである。こんなことをいくらやっても、規制の枠組は変わらないし、真の競争は生まれない。

米国では、FCCのパウエル委員長がblogで、デジタル放送に割り当てたまま使われていないUHF帯を無線LANに開放することを提案している。WiMaxという新しい無線LAN技術を使えば、携帯電話と同等のサービスが免許なしで可能だ。ソフトバンクが電波利権に本気で挑戦するなら、免許制度そのものの廃止を提案すべきだ。孫氏の要求は「おれにも電波利権の分け前をよこせ」というrent-seekingにすぎない。

追記:Trackbackで指摘されたように、WiMaxが「携帯電話と同等」というのはいいすぎだった。むしろ「ラストワンマイル」として携帯電話よりも低コストで有望、といったほうがいいだろう。無線=モバイルではないからだ。またパウエル委員長もいっているように、「オーバーレイ」で使うなら免許は必要ない。