私がどういう人間か、あるいは何をしているかを知ろうと思えば、私のグーグルとGmailの履歴を見るのが一番だろう。そこには、私の1日の活動の半分ぐらいが記録されている。しかし私がそれを意に介さないのは、私が銀行預金をいつもチェックしないのと同じだ。こうした個人情報はすべて機械によって処理され、人間が操作したり盗用したりすることはないと信じているからだ。
しかし、この信頼には何の根拠もない。ある日、グーグルの社員が私の銀行口座のパスワードを盗んで私の全財産を持ち去らないという保証は何もない。今のところパスワードはグーグルに知られていないと思うが、クレジットカード番号は知られているかもしれない。もちろん今まで世界中でその種の事件が報じられたことはないが、それは事件が起きていないということを必ずしも意味しない。
今週のEconomist誌は、ニック・リーソンという一人のトレーダーの不正取引がベアリングズ証券という大手証券会社をつぶした事件を例にとって、「グーグルにリーソンがいない、あるいはこれから現れないというという保証はあるのか」と問うている。もちろんエリック・シュミットは「万全の対策をとっている」と答えてはいるが、その可能性がゼロとは断言できないだろう。
金融機関の歴史をみれば、その種の事件は枚挙にいとまがない。日本でいえば、大和銀行NY支店のの井口俊英というトレーダーが11億ドルの損失を出して同行をアメリカから撤退させた事件を覚えているだろう。現在のグーグルは、それぐらいのスケールの事件を起こしうる莫大な情報をもっている。今まで何もなかった(ように見える)のは幸運にすぎない。
といってもちろん、日本の個人情報保護法みたいなものを作っても何の足しにもならない。必要なのは、グーグルが今や銀行と同じような社会的インフラになったという事実を認識し、それにふさわしいセキュリティを徹底することだ。そして巨額の金銭的被害や、深刻な名誉毀損事件などが起きた場合に、検索エンジンやISPがどこまで責任を負うかという賠償責任を明確化する必要があろう。それさえはっきりすれば、この種の問題は基本的には保険でヘッジできる。危険なのは、まだそういう問題の存在さえ気づかれていないということだ。
しかし、この信頼には何の根拠もない。ある日、グーグルの社員が私の銀行口座のパスワードを盗んで私の全財産を持ち去らないという保証は何もない。今のところパスワードはグーグルに知られていないと思うが、クレジットカード番号は知られているかもしれない。もちろん今まで世界中でその種の事件が報じられたことはないが、それは事件が起きていないということを必ずしも意味しない。
今週のEconomist誌は、ニック・リーソンという一人のトレーダーの不正取引がベアリングズ証券という大手証券会社をつぶした事件を例にとって、「グーグルにリーソンがいない、あるいはこれから現れないというという保証はあるのか」と問うている。もちろんエリック・シュミットは「万全の対策をとっている」と答えてはいるが、その可能性がゼロとは断言できないだろう。
金融機関の歴史をみれば、その種の事件は枚挙にいとまがない。日本でいえば、大和銀行NY支店のの井口俊英というトレーダーが11億ドルの損失を出して同行をアメリカから撤退させた事件を覚えているだろう。現在のグーグルは、それぐらいのスケールの事件を起こしうる莫大な情報をもっている。今まで何もなかった(ように見える)のは幸運にすぎない。
といってもちろん、日本の個人情報保護法みたいなものを作っても何の足しにもならない。必要なのは、グーグルが今や銀行と同じような社会的インフラになったという事実を認識し、それにふさわしいセキュリティを徹底することだ。そして巨額の金銭的被害や、深刻な名誉毀損事件などが起きた場合に、検索エンジンやISPがどこまで責任を負うかという賠償責任を明確化する必要があろう。それさえはっきりすれば、この種の問題は基本的には保険でヘッジできる。危険なのは、まだそういう問題の存在さえ気づかれていないということだ。